2018 Fiscal Year Research-status Report
発展途上国におけるネットワーク構造がただ乗り行動に与える影響に関する計量経済分析
Project/Area Number |
17K13738
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
嶋本 大地 近畿大学, 経済学部, 講師 (30748405)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ただ乗り / ネットワーク / 輸出行動 / ベトナム |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はベトナムのハノイ北部の伝統的な衣料産業クラスターの中小零細企業を対象に、情報交換をしている仲間企業の輸出行動が自社の輸出行動に与える影響を定量的に検証した。 仲間企業の輸出行動が自社の輸出行動に与える影響は、プラスとマイナスの両方が起こりうる。まず、仲間企業が輸出している場合に、その企業から輸出手続きや海外市場の需要に関する情報を得ることができるため、自社の輸出は促進されうる。その一方で、仲間企業が海外市場へ参入することで市場の競争が激化するために、自社の海外市場への参入が困難になるかもしれない。そのため、仲間企業の輸出行動が自社の輸出行動に与える影響はプラスの情報波及効果とマイナスの競争の効果のいずれが強いかによって決まる。 しかしながら、仲間企業の輸出行動と自社の輸出交換の相関関係を調べても仲間企業の輸出行動が自社の輸出行動に与える影響を検証できない。これは、似たような性質(例えば、製品の種類や品質や生産規模、等)を持つ企業同士が情報交換ネットワークを構築している可能性や、自社の輸出行動も仲間企業の輸出行動に影響を与えているためである。 そこで上記の問題を解決するために、情報交換ネットワークの固定効果をコントロールした上で、仲間企業の仲間企業の属性を仲間企業の輸出行動の操作変数に用いることで、仲間企業の輸出行動が自社の輸出行動に与える効果を検証した。その結果、仲間の輸出行動が自社の輸出行動に与える影響はマイナスであることを見出した。ただし、自社が海外市場の情報を獲得しようとするただ乗りを行った場合にも、仲間の輸出行動が自社の輸出行動に与える影響はマイナスとなるが、メカニズムとして海外市場の競争が激化した効果なのかただ乗りの効果なのか識別はできない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査計画には十分な時間を確保する必要があるが、所属機関の変更に伴い、授業の準備に多くの時間を割く必要があり、調査を計画する時間を確保することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度中に、べトナム北部の特定の村を対象に訪問による全数企業調査を行う。調査は過去に協力して企業調査を実施した 民間調査会社か現地の大学のいずれかに委託して行う。調査実施開始時期を9月初旬を目指し、事前に民間調査会社及び現地の大学を訪問して調査の計画を作成する。また、調査開始時には、申請者は予期せぬ自体に対応できるように調査に同伴し、調査の管理に携わる。終わり次第、調査データを用いてデータ分析を行い、論文の執筆に専念する。
|
Causes of Carryover |
計画していたフィールド調査を実施できなかったため、次年度使用額が生じた。 翌年度では、フィールド調査にかかる費用(タブレット、GPS、調査費、渡航費等)に使用する予定である。また、論文を執筆した後に必要な英文校正費や論文の投稿費用にも使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)