2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13740
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岡田 啓介 関西大学, 経済学部, 准教授 (70633064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経済発展 / 制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の点について研究活動を行った。
(1)天然資源を豊富に有する国は、その資源を利用して経済発展に成功するように一見思われるが、現実には経済が停滞することがしばしば観察される。この現象は「資源の呪い」として知られている。これに関して次の2つの研究を行った。(a)天然資源に関わる資金は不透明であることが多く、資源の呪いの原因の一つとして汚職の存在が指摘されている。この問題に対する国際的な対策として、「採取産業透明性イニシアティブ(Extractive Industries Transparency Initiative:EITI)」がある。アフリカ諸国に着目し、EITIの経済的効果について検証した。研究成果は論文にまとめ、国際的学術雑誌に投稿中である。(b)天然資源の中でも、石油資源は特に価値が高く、産油国の政府にとっては重要な収入源となっている。そこで、大規模油田が発見された場合に、政府の行動(具体的には政府支出の内訳)がどのように変化するのかを世界100カ国以上のデータを使用して検証した。今後さらに分析を進め、論文にまとめる予定である。
(2)貿易自由化が経済に与える影響についてはこれまでにも多くの議論がなされてきた。2000年代以降発展してきた企業の異質性を考慮したモデルでは、同一産業内に異なる生産性の企業が存在し、貿易自由化が進展すると生産性の低い企業から高い企業へと資源が移動することで経済全体の生産性が上昇することが示されている。このモデルに新規企業の参入を明示的に考慮した場合、貿易自由化が生産性にどのような効果を及ぼすのかについて検証した。研究結果から、貿易自由化と生産性の関係は単調ではなく、貿易自由化が常に生産性の向上をもたらすとは限らないことを明らかにした。研究成果は論文にまとめ、ワーキングペーパーとして発表するとともに、国際的学術雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載したように、2本の論文を国際的学術雑誌に投稿した。また、翌年度に論文を完成させることを目途として、新たな研究テーマにも取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に記載したように、2本の論文を国際的学術雑誌に投稿中である。これらの論文を学術雑誌に掲載するべく研究を進めていく。また、今年度から取り組んだ、「天然資源と政府行動」の研究に関しては、翌年度中に論文を完成させ、国際的学術雑誌に投稿する予定ある。
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Causes of Carryover |
データ入力・整理を依頼するアルバイトを雇用しなかったため、次年度使用額が発生した。次年度は統計ソフトの購入、研究打ち合わせ・研究成果報告のための旅費、書籍の購入などを計画している。
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Research Products
(2 results)