2017 Fiscal Year Research-status Report
大学が生み出す付加価値の実証分析:大学院教育および産学連携活動の評価
Project/Area Number |
17K13745
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊地 雄太 北海道大学, 経済学研究院, 助教 (60782117)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 教育付加価値モデル / 大学院教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学院教育において、どの観察可能な教員属性が、研究指導の付加価値に影響を与えるかを分析するため、本年度は第一に、研究者個人レベルの付加価値を推定し、推定された付加価値にバイアスがどの程度あるかについて評価する方法について考案した。教育経済学の分野で用いられる教員付加価値モデルを用いて付加価値が時間を通じて変化する場合とそうでない場合において推定し、推定された教員付加価値推定値が実際にどれだけ学生のスコアの向上を予測できるか、といった予測バイアスの程度を評価するための手法を検討した。
上記を基とした推定値とバイアスの程度の評価についてはまだ暫定的な結果であるが、第二に、推定された付加価値と観察可能な教員属性との相関を分析した。Kikuchi & Nakajima(2017)で用いた東京大学物理学研究科にについてのデータを用いてシンプルなクロスセクションでの回帰分析を行なった結果、教員が「教授」の職位であること、より多くの研究業績があること、海外で PhD を取得したことの三つが有意に指導の付加価値と正の相関を持ち、年齢が高いほど指導の付加価値と有意に負の相関関係がある可能性が示された。また、研究業績と付加価値の間には凸な関係性があることが特徴的なパターンとして現れた。
第三に、具体的にどの教員属性を変化させれば学科全体の平均的な教員付加価値が向上するのかといった直接的な政策示唆を得るべく、新たな教員の雇用や引退といったイベントを教員属性を変化させる要因として用いるような分析について考案した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教員付加価値の推定手法について当該分野において活発な議論が行われているが、その分野におけるサーベイ、及び、本研究のような状況に対応させる際の妥当性についての議論が不十分であり、推定結果について確定させるにはまだ詳細な検討が必要であると判断したため。また、特許データを用いた産学連携の評価についての分析について着手できなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
個人レベルの教育付加価値推定方法とバイアス評価についての手法が本研究のような小標本の場合どの程度信頼性のおけるものであるか単純なモンテカルロシミュレーションを行い、小標本特性について分析する。次に、どの教員属性を変化させれば付加価値の向上に結びつくかについて、政策的示唆を得るための推定手法及び結果を確定させる。
|
Causes of Carryover |
本年度は特許データ分析を行わなかったため、処理・分析に必要なワークステーションを購入する必要が生じなかったが、分析を行える状況になり次第購入する。
|
Research Products
(5 results)