2017 Fiscal Year Research-status Report
従業員の主観的評価についてのアンカリング・ヴィネット手法を用いた実証分析
Project/Area Number |
17K13746
|
Research Institution | The Health Care Science Institute |
Principal Investigator |
参鍋 篤司 公益財団法人医療科学研究所, 研究員育成委員会, 研究員 (70456763)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | アンカリング・ヴィネット / 主観的変数 / 幸福度 / 生活満足度 / 仕事満足度 |
Outline of Annual Research Achievements |
幸福度や仕事満足度,主観的健康感等の主観的変数に及ぼす、社会経済的及び個人属性の諸影響を、DIF(Differential Item Functioning)の問題を回避しつつ推計するための統計学的手法としてのアンカリング・ヴィネット法についての調査を進めている。 主観的変数におけるDIF問題とは、例えば、主観的健康観においては、衛生状態や医療サービスが行き届かない地域や国で長年育ってきた人の場合、そうでない地域に育ってきた人々に比べて、健康であると判断する自らの心の中にある基準レベルが大変低いことがある。 こうしたバイアスを放置すると、あたかもこうした衛生状態の悪い地域や、医療サービスの行き届かない地域のほうが、健康状態が良いと報告する人々が多くなる、という事態を招きかねない。 こうしたバイアスは、主観的変数すべてにおいて生じうることであり、こうしたバイアスに対処するために近年注目されているのが、アンカリング・ヴィネット法を用いた推計を行う試みである。ヴィネットと呼ばれる、ある架空の人物の状況を例示し(例えば健康状態について)、この人物の置かれた状況を、自分自身の健康状態を評価するのと同じように評価してもらう。この場合、例として挙げられた人物の健康状態はアンケート回答者皆が共通に評価できるものである必要があるが、これにより、当該回答者が、どの程度健康状態を過剰に評価したり、過小に評価したりするのか、という情報が得られる。この情報を利用し、本人の健康状態の自己評価レベルを修正するのである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該研究計画遂行のために、アンケート調査を2017年度に実施することを予定していたが、働き方改革の進展に伴う企業等の労働慣行の変化や、非正規労働者の契約についての法改正の影響(無期限契約への変更等)など、労働市場環境の激変が2018年において見込まれることとなったため、質問項目の見直しが必要となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、労働市場の環境変化が見込まれる年に当たり、質問項目の変更を検討しつつ、アンケート調査を実施する。調査はインターネット調査となる予定である。これは、第一にサンプル数の確保と、アンカリング・ヴィネット分析が、紙における質問票への回答よりも、インターネット調査により適合すると考えられるためである。
|
Causes of Carryover |
2017年度に実施する予定であったアンケート調査は、労働環境の激変のために、質問項目の変更が余儀なくされたこと、およびそのために、アンケート調査を実施するのは、2018年度において実施することにより、その変化の内容について詳しく知ることができるとが望ましいと判断したために、2017年度において実施する予定で会った調査を、2018年度において実施ることとしたため、次年度使用額が発生している。
|