2020 Fiscal Year Research-status Report
従業員の主観的評価についてのアンカリング・ヴィネット手法を用いた実証分析
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17K13746
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
参鍋 篤司 流通経済大学, 経済学部, 准教授 (70456763)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アンカリング・ヴィネット / 幸福度 / 生活満足度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当該事業から拠出された研究費を用いて実施したアンケート調査結果より得られた個票について、統計的分析を実施し、その結果を論文「なぜ女性は男性より生活満足度が高いのか-アンカリング・ヴィネット分析」として公表し、『日本経済研究』誌に字採択された(査読付、近刊予定)。また、主観的変数を対象として研究した論文として、「Sannabe eta.(2020)Japan and the world economy」があり、アンカリング・ヴィネット手法に関連した分析を行っている。 当該論文が書かれた背景としては、近年、生活満足度や幸福度を、GDPに代わるものとして、国民の生活の質を現す指標として用いようと提案されることがある。しかしながら、こうした指標を政策立案の基礎資料とすることには、問題が生じる恐れがある。 主観的変数を個人間で比較する場合、各個人の中にある「基準」を揃える必要がある。 こうした基準をそろえようとする試みの一つとして、当該論文はアンカリング・ヴィネット手法を用いた分析を行った。当該論文では、以下のような結果を得ている。 世界的に、女性は男性よりも幸福度や生活満足度が高くなる傾向が知られている。このような現象が観察される理由は、女性は幸福度の高さにつながる諸活動に多くの時間を配分しているという時間配分仮説と、女性は男性に比べて何らかの原因により満足度や幸福度を判断するベンチマークの諸水準が低く、満足度や幸福度が高く出るという「基準仮説」の二つに大別される。本稿では、主観的変数の個人間比較可能性を担保する手法として近年注目の高まっているアンカリング・ヴィネット手法を用いることで、基準仮説及びその具体的現れであるscale biasの存在を確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス流行により、当初予定されていた通常のアンケート調査実施に種々の支障が生じるため。
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Strategy for Future Research Activity |
前述した論文をまとめるうえで、新たに浮かび上がった課題を解決するような調査を実施していきたい。また、新型コロナウイルスの流行により社会に大きな変動が生じているため、そういった側面について把握するべく、調査を工夫し、実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行により、予定していた、通常のアンケート調査を実施することが難しくなったため。次年度においては、予定していたアンケート調査を実施したい。
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Research Products
(1 results)