2018 Fiscal Year Research-status Report
Childhood Health and Human Capital Formation
Project/Area Number |
17K13747
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
森 啓明 一橋大学, 大学院経済学研究科, 講師 (40778247)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人的資本 / 労働市場 / パネルデータ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年期における健康問題が、労働市場における賃金に対して長期的な影響を及ぼす理由は複数あり、それらの理由の相対的重要性を推定することによって、その長期的な影響を抑制するために効果的な政策を探ることが本研究の目的である。その目的を達成するために、英国のNational Child Development Studyデータを用いて、若年期における健康問題が技能形成と健康資本の双方に影響することを許容するモデルを推定し、推定したモデルを用いたシミュレーションによって、その問いに答えることを試みた。シミュレーションの結果から、若年期における健康問題が賃金に与える影響の大半は技能形成が阻害されることによって説明されることが示唆された。これらの結果を、"Childhood Health and Lifecycle Human Capital Formation"と題したワーキングペーパーにまとめ、自身のウェブサイト上に公開すると共に、国際的な査読付き研究雑誌へ投稿した。
並行して、日本の労働市場を取り巻く動向を分析する新規研究プロジェクトを開始した。具体的には、2000年から2018年にかけて、日本の労働市場において起こった主要な変化を政府統計を元に分析するワーキングペーパーを執筆した。本論文は2017年度に出版された"The Labor Market in Japan, 2000-2016"を改定し、2017-18年に日本の労働市場で起こった変化に関する分析を加えるものである。本論文は、国際的な査読付き研究雑誌であるIZA World of Labor誌から出版される予定である。
また、本研究課題に関連する研究として、幼児教育の犯罪抑制効果に関する新規共同研究プロジェクトを開始し、その研究成果の一部を国際学会を含む複数の学会において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度における主な目標は、若年労働者の健康問題に関するワーキングペーパーを査読付き研究雑誌に投稿することと、幼児教育の犯罪抑制効果に関する論文に関して学会報告を行うことであり、その目標は達成された。
本研究課題と関連するものの、当初予定していなかった研究プロジェクトへの参加が決まり、並行して研究作業を進めてきた。その成果の一部は"The Labor Market in Japan, 2000-2018"としてワーキングペーパーにまとめた。この研究成果は、IZA World of Labor誌より出版される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、引き続き若年者の健康問題に関するワーキングペーパーの投稿・出版にかかる作業に取り組む。
本研究課題に関連する研究として、幼児教育の犯罪抑制効果に関する新規共同研究プロジェクトを進め、国際的な査読付き研究雑誌への投稿を目指す。具体的には、既に収集が完了しているデータの分析を終わらせ、ワーキングペーパーとしてまとめた後、国際的な査読付き研究雑誌への投稿とホームページ上での研究成果の公開を行う。また、論文の質を高めるために必要となる、他の研究者からの助言・フィードバックが得られるよう国際学会等の場で研究成果の報告を行う。これらの目標を達成するため、データ整理作業等の時間がかかる作業については、研究補助員を雇用することによってその作業を迅速に終えられるよう工夫する。また、ビジネスチャットアプリ(slack)を用いて、共同研究者間で綿密な連絡をとりあい、効率的なコミュニケーションと作業分担を行う。
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Causes of Carryover |
他の研究費を使用して学会出張にかかる旅費の一部を支払ったため、旅費にかかる支出が抑えられた。2019年に研究補助員を雇用するための人件費として使用し、研究の推進に努める。
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Research Products
(6 results)