2022 Fiscal Year Annual Research Report
Economic Analysis of Liability for Damages Concerning Nuclear Disaster
Project/Area Number |
17K13751
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
大石 尊之 明治学院大学, 経済学部, 教授 (50439220)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 法と経済学 / ゲーム理論 / 不法行為法 / 公理的アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
原子力災害特別措置法は、原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護すること目的とした法律であるが、このような目的を達成できる法制度設計について、経済学の観点から分析することは重要な課題である。Oishi, van der Laan and van den Brink (2023 January, Economic Theory 75: 229-258)では、複数の不法行為者と被災者間での災害の因果関係が樹木構造になっているような賠償責任問題に注目して、様々な賠償スキームの公理的研究を、アメリカ不法行為法の様々な法概念とゲーム理論を駆使して行ったが、日本の「原子力損害の賠償に関する法律」では、被害者保護の観点から、原則的に、原子力事業者の責任を無過失賠償責任としている。そのため、複数の不法行為者の責任が無過失責任の場合の賠償スキームの公理的分析は、残された重要な課題であった。2022年度このような観点で研究を遂行し、以下のような研究結果を得た。複数の不法行為者と被災者間での災害の因果関係が単純な線形構造になっているような賠償責任問題を想定し、不法行為者の無過失賠償責任を仮定する。賠償責任を各不法行為者の無過失責任の大きさに比例して決めるスキームと不法行為者間で均等化して決めるスキームの、2つのスキームの凸結合になるようなスキームは、効率性、匿名性、再配分耐性、単調性の4つの公理で特徴づけられることを証明した。この成果は、現在論文としてまとめている最中である。一方で、本研究は、法と経済学と関連する研究であることから、2022年度は「経済制度の学際的ワークショップ(於:慶應義塾大学)」で「所有権と不法行為の経済分析:新たな記述的・規範的アプローチ」と題して研究報告を実施し、法と経済学の研究者たちと学術交流を行った(実施日:2023年1月26日)。
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Research Products
(5 results)