2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13754
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松浦 司 中央大学, 経済学部, 准教授 (50520863)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 単身高齢者 / 幸福度 / 生活保護 / ジェンダー / 日中比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主な成果は以下の2点である。 第1に、今年度は単身高齢者の幸福度に関する日中比較に関する論文を執筆した。この論文では、日本の高齢男性の場合は、一人暮らしであると幸福度が低下するものの、配偶状態を考慮するとこの影響が消えることが示された。つまり、日本の単身高齢者の場合は独居であることよりも配偶者がいることが幸福度に影響することが示された。日本の高齢女性は配偶状態を考慮しても、一人暮らしであると幸福度に正に影響することが示された。一方、中国の場合は似たような傾向があるものの、日本と比べると一人暮らしの幸福度に与える影響のジェンダー差が顕著ではなかった。この論文は日本語でDPにしたうえで、海外カンファレンスでの発表を経て、英語化して海外誌に投稿中である。 第2に、都道府県別パネルデータを用いて、高齢者の単身世帯比率と高齢者の生活保護受給世帯の関係を分析した。その結果、男性の場合は高齢者の単身世帯比率が高い都道府県では高齢者の生活保護受給率が高くなることが、固定効果を考慮しても示された。一方、女性に関しては、単身世帯比率と高齢者の生活保護受給率には、有意な関係は観察されなかった。さらに、1995年以前や地方都市では単身世帯比率と高齢者の生活保護受給率に相関関係は観察されないのものの、2000年以降や大都市圏では両者に有意な関係が観察された。このことは、大都市であることや2000年以降は、単身世帯と生活保護の結びつきが強くなっていることを示唆する。この論文は、日本語でDPにした後に、学会発表を経て、海外誌に投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している理由としては以下のとおりである。2本の論文を執筆して、それぞれの論文を学会発表や国際カンファレンスでの発表した。そのうえで、2本とも海外誌に投稿した。そのうち1本は、改定要求が来て対応後に再投稿を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、これらの論文を学会やカンファレンスで発表する予定である。また、日本の高齢化問題をSDGs(持続可能な開発目標)の枠組みでとらえることで、SDGsに関する本を出版する予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍によって、十分に国際学会などで発表する機会得られなかったためであり、次年度には国内、国際学会で報告を行いたい。
|