2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K13757
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
高橋 主光 九州産業大学, 経済学部, 講師 (60756865)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 労働経済学 / 人的資本理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「社会復帰の経済学」に関し、当該年度においては前年度に調査を開始し一部に関し論文の執筆を行った「主観的期待値と実測値の差異」に関する研究の進行が主だった実績となる。 作業内容としては、「学校を卒業することで自らの賃金はどの程度上昇すると予測されるのか」「(若年無業者等が)就業等の社会復帰を達成したと仮定して、その際にどの程度の賃金を得ることができると予測されるか、逆に社会復帰の達成に伴う(特に心理的な)コストはどの程度であると予測されるか」という主観的期待値に関する調査について、先に国際比較を目的として行った南アジアにおける海外調査の結果を論文にまとめ、所属大学から叢書として公表すること(及びそのための論文の修正)を通じ、調査における質問項目の精査等、研究の精緻化を進める上で必要な検討を行った。中でも、国際比較に関しては、成長著しい国(インド等)と成長が鈍化した日本のような国とでは、自国経済の状況に関する将来予測にも大きな差異が生じると考えられるため、その点に関する質問をより詳細に行う必要性などが明確となった。さらに、新型コロナウイルスの流行により、主観的期待値に大きな影響が出ていることが予測されるため、そうした視点を副次的に持つ必要性についても検討を行った。 これにより、後に続く調査に関し、どのような調査設計をとするかがより明確となった。本年度は、2020年度に得た知見及び日本国内で行った予備調査の結果を踏まえ、より精緻な調査並びにそれを活用したシミュレーション等の作業を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの流行に伴い、海外調査及び国内調査に遅延・停滞は生じたものの、調査内容の精査等を通じ、分析の深化を図ることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、2020年度においては執筆した論文の刊行に向けた作業を通じ、調査内容の精査を行うことができた。本年度は、その結果を踏まえた上で、「学校を卒業することで自らの賃金はどの程度上昇すると予測されるのか」「(若年無業者等が)就業等の社会復帰を達成したと仮定して、その際にどの程度の賃金を得ることができると予測されるか、逆に社会復帰の達成に伴う(特に心理的な)コストはどの程度であると予測されるか」といった主観的期待値に関する大規模なアンケート調査を行い、調査結果を用いた実証分析や、主観的期待値に関し適切な情報を与えると進学率や社会復帰確率にどのような影響が出るか、といった視点に基づいたシミュレーションを行った上で、分析結果に関する論文執筆を行うことが最終的な目標となる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行に伴い、必要と考えられる調査の中に不可能なもの(特に海外調査)が生じたため、調査計画の修正が必要となった。本年度においては、調査会社を介したウェブアンケート調査の実施を通じ、状況への対応を行う。
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