2018 Fiscal Year Research-status Report
株式バブルは予防可能か?新指標を用いたバブル生成過程の解明
Project/Area Number |
17K13761
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 雅貴 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (30625984)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バブル |
Outline of Annual Research Achievements |
株式バブルは実体経済に多大な影響を及ぼしうるが、その生成過程の詳細はいまだ解明されておらず、バブルを未然に防止する有効な方法も明らかではない。そこで、本研究は株式配当先物価格から導出される株式ファンダメンタルズの新指標を使って、①株式バブルの生成過程を実証的に解明し、②株式バブルに対する有効な予防策および善後策を提案することを目的としている。 本年度においては、配当先物価格から構成した株式ファンダメンタルズと実際の株価から株式バブルを抽出し、株式バウルの発生メカニズムに関する分析を行った。 株式バブル変数に他の経済・市場変数を含めたVAR分析により、短期金利、長短金利差および信用スプレッドが株式バブルを発生させる要因であることを解明した。特に、緩和的な金融市場における市場金利の低下、市場参加者にとる将来経済期待の改善、市場参加者のリスク許容度の上昇が、株式バブルを発生させる要因となっていることが判明した。また、株価ボラティリティの上昇が、株式バブルを引き起こすことも解明した。これら実証結果は、株式の転売オプションおよび金融機関のレバレッジに由来する資産価格バブルの発生モデルと整合的である。 本研究の実証結果は、従来の資産価格バブル理論モデルの正当性を裏付けるものとなっており、この意味でもファイナンス研究分野に大きな貢献をもたらすこととなる。 また、この結果を日本ファイナンス学会主催の「研究観望会」で報告し、研究者だけでなく一般の参加者との議論を通じて、研究成果の社会還元を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点での進捗状況は、当初の研究計画のタイムテーブルに概ね合致している。 また、経済モデルと整合的な実証結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度までに得られた研究結果をまとめ、学術論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
当該年度に実施する予定であった研究会を次年度に延期したことにより、当該年度は謝金の支払いがなかった。 そのぶん、次年度の研究会の規模が拡充されるため、研究期間全体で見た支出予定額に変更はない。
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