2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13763
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関根 篤史 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 講師 (70779066)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 石油価格 / インフレ / パススルー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、石油価格の変動がインフレにどの程度影響を与えるのかについて、実証分析を行った。これまでの関連研究では、低いインフレ期と比較して、高いインフレ期において、価格を変更するインセンティブが企業にとってより大きくなることが指摘されていた。石油価格の変動は、企業にとって重要な生産要素の一つであり、企業の価格設定行動に影響を与えるだけでなく、物価の変動をもたらす可能性がある。よって本研究では、インフレ率の状態に着目しながら、石油価格の変動が物価に与える影響の違いについて考察した。アメリカのデータを用いて、Smooth Transition Autoregressive Modelと呼ばれる時系列モデルを使って分析を行った。このモデルでは、平均インフレ率よりも高い時期を高インフレ期、低い時期を低インフレ期と定義し、高インフレ期と低インフレ期における、石油価格のインフレへのパススルーの推定を行った。分析の結果、低インフレ期と比較して高インフレ期において、石油価格の変動が物価に与える影響が大きくなることが分かった。また高インフレ期における影響は有意となった。この結果から、石油価格が物価に与える影響はインフレ率の状態に依存していると言える。また1980年代半ば以降における、アメリカの石油価格のインフレへのパススルーが低下したことを明らかにした。そしてこの実証分析で得られた結果は、これまでの関連研究で指摘された、企業の価格設定行動と整合的であると言える。本研究は、"Oil price pass-through to consumer prices and the inflationary environment: a STAR approach"というタイトルで論文にまとめ、Applied Economics Lettersに投稿し、2018年12月にアクセプトされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度からの二年間の研究を通して、石油価格の変動がインフレに与える影響が非線形であることが分かった。具体的には、低インフレ期においては、石油価格の変動がインフレに与える影響は、高インフレ期と比較して小さくなるということである。この研究成果は、計画に基づいて研究を進めた結果である。結果として、二本の論文を海外の査読付きジャーナルに公刊することが出来た。よって、順調に計画が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では、石油価格と物価指数のデータについては、関連研究と同様に、月次データを用いて分析を行ってきた。しかしながら、石油価格については、日次データを利用することが可能である。また物価指数についても、民間会社等で日次データが提供されている。月次データから日次データに観測データの頻度を上げることで、より正確な分析が可能になると思われる。今後は、日次データを利用して、石油価格の変動が物価に与える影響について分析を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
当初はワークステーションを購入する予定であったが、その発売が2019年度以降となったため、次年度に繰り越すこととした。繰越額は2019年度にワークステーションの購入に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)