2017 Fiscal Year Research-status Report
非完備市場における金融派生証券に対する最適ヘッジ戦略と数値計算
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17K13764
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
今井 悠人 早稲田大学, 理工学術院, その他(招聘研究員) (60732229)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 最適ヘッジ戦略 / Local risk minimization / 幾何Lévyモデル / FFT |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)研究の背景: 完備市場とは、取引手数料等が存在せず任意の金融派生証券の価格はその価格が既知である金融商品のポートフォリオによって実現できる仮定である。完備市場に於ける金融派生証券の価格は金融派生証券を完全複製するヘッジ戦略の初期費用である。その価格は、資産価格の確率過程をマルチンゲールにする確率測度と、同値マルチンゲール測度の下での期待値によって求められる。完備市場の仮定は明らかに現実から乖離したものである。そのため、完備市場の仮定を弱めた 非完備市場に於ける金融派生証券の価格付け及び最適ヘッジ戦略に関する研究の必要性が高まっている。 (2)研究内容について: Le'vy過程に関する確率微分方程式の解で資産価格が記述されるモデルに対して、Malliavin解析を用いLocal risk minimization戦略の一般公式が導出されている。得られた一般公式をもとに、数値計算可能な式を導出し数値計算を行い、デルタヘッジ戦略との比較を行った。特に、株価過程が幾何Le'vy過程に従う場合について、オプション価格が高速フーリエ変換を用いて高速かつ高精度に計算できることを示した。幾何Le'vyモデルの具体例として、株価がVariance Gammaモデル、Martonモデル、Normal Inverse Gaussianモデルで記述される場合について結果を得た。 (3)研究内容の対外発表について: 本年度の研究成果を論文に纏めて査読付き英文学術誌に投稿を行なった。また、2017年度中之島ワークショップ「金融工学・数理計量ファイナンスの諸問題 2017」において得られた研究成果の発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した、平成29年度の研究実施計画に概ね沿った形で研究成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した、平成30年度31年度の研究実施計画に沿って研究を行う。また、平成29年度には研究集会や談話会の主催が十分な形で行えなかったので、この点を反省し平成30年度31年度には積極的な開催を行う。
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Causes of Carryover |
計算環境の継続上、現在所有している計算機をそのまま使用する必要があったので、新規に購入しなかった。平成30年度において新規購入予定。また、業務の都合上、想定していた海外への出張が行えなかった。この点についても平成30年度には海外での研究発表ならびに海外で開催される研究集会に出席する予定である。また、平成30年度からハードウエアを用いた研究を行う予定であるため、前年度に購入予定であったFPGAやGPUなどの購入を行う予定である。
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Research Products
(4 results)