2019 Fiscal Year Annual Research Report
The role of money and monetary policy in an open economy New Keynesian framework
Project/Area Number |
17K13766
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
井田 大輔 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (50609906)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 開放経済ニューケインジアン理論 / 国際金融政策 / 貨幣と消費の非分離型効用関数 / ゼロ金利制約 / 量的緩和政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、1年目および2年目で行ってきた研究を次のように検討した。
まず、これまでの研究過程を簡単に振り返りたい。1年目で開放経済ニューケインジアンモデルにおいて、実質貨幣残高と消費の非分離型効用関数を仮定することによって、貨幣の役割を明示的に導入した。具体的には、構造方程式や中央銀行の損失関数が自国と外国の相対的な貨幣量の差の影響を受けることが示された。ゼロ金利を導入する前のシミュレーション分析でも、非分離型効用関数は分離型効用関数に比べて貨幣の役割を二国モデルにおいて顕著にもたらすことが示された。このモデルに2年目はゼロ金利制約を導入したが、第1に、シンプルなdynareのパッケージに基づくものであった。自国と外国で両国同時にゼロ金利制約を導入することのシミュレーション分析の計算負荷が高いためであった。それゆえ、第2に、分析できるメニューが限られていることが課題であった。また、学会コメントにおいても貨幣供給量の明示的な役割(量的緩和)が検討出来ていないことも課題であった。
3年目はこの二点の課題の検討を中心に行ってきた。上記の二点は独立したものでなく、第一の点を克服することが第二の点の検討にもつながることが見えてきた。具体的には、Guerrieri and Iacoviello (2015)のOccBinの手法を本モデルに応用することで第一の問題を克服することができた。さらに、OccBinの手法では、自国と外国で同時に自然利子率に負のショックが生じた際に、さらなるショックを考察することが可能になる。例えば、自国と外国で自然利子率がマイナスになったときに、自国と外国が貨幣供給量のコントロールをする場合が考えらえる。量的緩和のタイミングで自国と外国に差が出ることがどのように国際的な金融政策の波及経路に影響を与えるかを調べることができる。
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