2018 Fiscal Year Research-status Report
組織内ミドル・マネジメントの経営史的研究：国鉄・JRを事例として
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17K13771
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| Research Institution | Hosei University |
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Principal Investigator |
二階堂 行宣 法政大学, 経営学部, 准教授 (00757114)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 国有鉄道 / 鉄道輸送 / 交通政策 / 経営史 / 鉄道史 / オーラル・ヒストリー / 意思決定 / マネジメント |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本を代表する鉄道運営事業体である国鉄・JRを対象に、巨大企業組織内のマネジメントが各時期でどう機能し、その変遷はどのようなメカニズムで発生するのか、内部文書と口述史料に基づき歴史的に明らかにすることである。
2年目である平成30年度には、（1）旧国鉄・JR経営に関する口述資料の蓄積、（2）組織内意思決定に関する長期データベースの作成、（3）学会における研究成果の発表、の3点を中心に研究活動を実施した。
（1）前年度に引き続き、史料利用環境の整備に努めた。保線分野を中心とする技術系ミドル・マネジメント経験者に対する詳細なインタビュー調査に注力し、技術管理業務の企画過程や、組織内における事務系・技術系幹部の相互関係を解明した。加えて、全国の鉄道事業者など関係機関を訪問し、史料保存状況を調査するとともに、新たな史料群を発掘した。
（2）戦後の日本国有鉄道におけるトップ・マネジメントの実態を把握するため、重要な意思決定の場である種々の重役会議について、開催時期・議題・配布書類・決定事項などの情報を網羅したデータベースを作成した。前年度に構築した年表や人事に関するデータベースと組み合わせることで、国鉄におけるマネジメントの総合的把握が期待される。
（3）戦後の日本国有鉄道の基礎的な経営構造と、その長期的変遷についての研究成果を、鉄道史学会全国大会（2018年11月）で報告した。具体的には、運輸・労務・財務の主要3業務について、制度・組織・業務運営の側面から歴史的に分析し、戦後国鉄経営の特徴を、戦前以来の事業官庁としての特質と、戦後に発足した公共企業体としての特質が複合したものとして把握した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、関係者との協力体制の構築と、史料アクセス環境の整備については、予想以上の進展が見られた。鉄道事業者や関係各所への訪問に加え、経営学・経済学・安全学などの近接分野の研究者や、韓国・台湾を含む海外研究者との意見交換にも努めた。
研究活動の基盤となる各種データベースの整備も、順調に推移している。従来の国鉄研究の空白となってきた、トップ・マネジメントに関する正確な情報の把握は、鉄道経営史のみならず、経営学や組織論の分野にも寄与するものと考えられる。
また、これまでの研究成果についても、学会全国大会という開かれた場で報告することができた。戦後鉄道経営史をテーマとする共通論題報告の企画に携わり、研究史の動向をふまえながら、史料調査に基づく新たな論点の提示を行った。今後も、史料所蔵者・インタビュー対象者の理解を得ながら、より積極的な成果公開に努めたい。
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| Strategy for Future Research Activity |
全国規模の史料調査を継続するとともに、研究成果の公開をさらに進めるべく、論文投稿を積極的に行う。特に、前年度からの課題でもあった、新幹線や地方交通線など現状の交通政策上の問題に深く関連するテーマについては、次年度中に研究論文を執筆する。
また、海外研究者との共同研究を進め、グローバルな視点から日本の国鉄経営を再考察するとともに、技術史的な視点も盛り込むことで、巨大な鉄道事業運営組織の運営メカニズムを明らかにしたい。
なお、研究遂行上の問題点として、個人情報保護あるいは企業秘密保護の観点から、現時点では非公開にせざるを得ない史料や証言記録が存在する。当事者との話し合いを進め、そのうち何名かの成果については、次年度中の公開を目指す。
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| Causes of Carryover |
所属大学における学内業務量が増加し、当初予定した関係機関への出張調査を抑制するとともに、人件費・謝金の支出を伴う研究活動を実施することができなかった。生じた次年度使用額については、次年度分の物品費ないし旅費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)
