2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Micro-Comparative Study on the Impact of Japanese Land Reform on Farmers
Project/Area Number |
17K13773
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
齋藤 邦明 和光大学, 経済経営学部, 講師 (70738814)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 農地改革 / 農業経営 / 農家家計 / 農業投資 / 土地改良事業 / 農地証券 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後日本において実施された農地改革によって社会規模での土地の大量取得が生じたことが、農家家計に対していかなる経済効果を与えたのかについて、家計データや政策文書を利用して、実証的に明らかにすることである。農地改革の経済効果については農業投資と家計消費の両面で考え、それらが地域毎にいかなる差異を見せたかを検証する。 まず農業投資については、新潟県の事例を検討した。同地域は米の主産地であり、戦時・戦後の食糧は域内供給が可能であり、農家が食料消費などへの家計支出の抑制が可能であった。さらに同地域の農民が戦時期から漸進的に一部の農家で農業投資が進めており、農地改革によって経済的条件が均一化した結果、地域全域での農業投資(土地改良事業)の進展につながったことが明らかになった。 次に農家の家計消費への影響については、農地改革における農地代金の支払いに注目して、政策文書(石黒忠篤文書)を利用して分析を行った。農地代金支払いについては、自作農創設特別措置法第26条において、「支払期間30年、年利3分2厘の均等年賦支払の方法」あるいは「買受者の申出により、対価の全部または一部の一時支払も可」という2つの選択肢が与えられていた。そこで農家課計のデータをみると、農地改革中(1948・49年)に農家が負債を大幅に増加させており、農家が農地代金をの一時支払(一括返済)を選択しており、現金収支で赤字となっていることがわかった。
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