2017 Fiscal Year Research-status Report
日本企業の取締役選任における株主の役割:議決権行使結果を用いたマルチレベル分析
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17K13782
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 大輔 九州大学, 経済学研究院, 講師 (10754806)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 取締役会 / 日本企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては,(1)先行研究の文献サーベイに基づく研究課題の導出と作業仮説の構築・深化,(2)大規模データセットの構築,を中心に作業を進めた. 第一に,先行研究のサーベイを網羅的に行い,研究課題の導出と作業仮説の構築・深化を行った.具体的には,Web of ScienceやProQuestといった文献データベースを活用し,(a)株主による企業への関与に注目した一連の研究,(b)取締役選任議案への議決権行使に注目した一連の研究,(c)日本企業におけるコーポレート・ガバナンスの歴史的変遷に注目した一連の研究,の3つの領域を網羅的にサーベイした. 第二に,大規模データセットを構築した.具体的には,2010年から2017年における日本の主要企業570社に関する,(a)企業別・取締役別・年度別の取締役選任議案の議決権行使結果(株主総会後に提出される各社の『臨時報告書』よりデータを収集),(b)企業別・取締役別・年度別の取締役に関する情報(取締役の職歴,年齢,就任年など),(c)企業別・年度別の財務情報(『日経NEEDS FinancialQUEST』よりデータを収集),(d)取締役選任議案への議決権行使に関する定性的情報(新聞記事および雑誌記事等),を収集した.これらのデータを接合しパネル・データを作成することで,8年間に及ぶ日本の主要企業570社における株主による取締役選任議案への議決権行使結果を,個人・企業・環境レベルというマルチレベルから分析することが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度では,当初の計画通り,(1)先行研究の文献サーベイに基づく研究課題の導出と作業仮説の構築・深化,(2)大規模データセットの構築,を一通り完了させることができた.もちろん,今後の研究の展開次第で必要であると判断すれば,追加的にこれらの作業を行っていく予定である.以上の理由より,本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては,主に,平成29年度に構築したデータセットおよび文献サーベイに基づいて,株主がどのように取締役選任議案に対して議決権を行使しているかに関して統計分析を行い,暫定的な知見を獲得することを目指す.暫定的に得られた知見は,その妥当性を確かめるために,国内外の学会にて発表し,フィードバックを得ることを目指す.具体的には,Academy of ManagementやAcademy of International Businessといった海外主要学会,組織学会や日本経営学会といった国内主要学会での発表の応募を計画している.
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Causes of Carryover |
平成29年度末に英文校正費として使用する計画がずれこみ,平成30年度に英文校正に原稿を出すことになったため,次年度使用額が発生した.当該助成金は,平成30年度中に英文校正費として使用する計画である.
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