2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13786
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
浦野 充洋 関西学院大学, 商学部, 准教授 (10613614)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 社会的企業 / ソーシャル・イノベーション / 制度派組織論 / 批判的経営研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ソーシャル・イノベーションを捉える論理の探求を目的としている。ビジネスの仕組みを用いて社会的課題を解決するソーシャル・イノベーションへの関心が高まってきている。しかし、ソーシャル・イノベーションを捉えるための理論的枠組みは、議論の途上にある。本研究では、(1)社会的企業に関する研究を中心にしながら、制度派組織論、批判的経営研究など、理論や方法論にまで遡ったレビューを行うことで、ソーシャル・イノベーションを捉える理論的枠組みを検討すること、(2)この理論的枠組みをもとに、経験的な研究を通じて実践的な含意を追求していくことを目的としている。 上記の目的のもと、(1)文献レビューについて、3年目にあたる2019年度は、制度派組織論と批判的経営研究の検討を中心に行った。まず、制度派組織論に関しては、2018年度に制度と物質性の関係について考察を行ったが、2019年度はこの考察の対象を広げ、物質性をもとにした空間性に関する研究のレビューを行った。批判的経営研究に関しては、2017年度に社会的企業を対象とした批判的経営研究のレビューを行ったが、2019年度はこちらに関しても考察の対象を広げ、社会的企業にかかわらず、方法論を重点的に議論している研究を対象にレビューを行った。これらの成果について、学会で報告を行うとともに、論文として公刊した。(2)経験的な研究については、上記の空間性と批判的経営研究の観点から、新たなフィールドワークに着手しており、継続的に研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ソーシャル・イノベーションを捉える論理を探求すべく、(1)社会的企業論、制度派組織論、批判的経営研究のレビューにもとづいた理論的枠組みの構築と、(2)経験的研究を通じた実践的含意の追求を目的としている。 この目的のもと、(1)文献レビューに関しては、当初の予定から順番を入れ替えることはあったが、初年度にあたる2017年度から2019年度にかけて社会的企業論、制度派組織論、批判的経営研究のレビューを進めてきており、予定通りの進捗度合いで進行している。 (2)経験的研究についても、初年度から2019年度にかけて継続的にフィールドワークや二次資料を通じた分析を行っており、総合的におおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として(1)文献レビューと(2)経験的研究の2つの観点から記述する。 (1)先行研究のレビューに関して、これまで当初の予定通り、社会的企業論、制度派組織論、批判的経営研究のレビューを進めてきた。最終年度にあたる2020年度は、これらを改めて包括的にレビューすることで、ソーシャル・イノベーションを捉えるための理論的枠組みを検討していく。 (2)経験的な調査研究については、新型コロナウイルス感染症の問題があり、フィールドワークを継続的にできるかどうか不透明な状況にある。フィールドワークが困難な場合は、二次資料からアプローチするなど柔軟に対応することで、当初の目的を実現すべく研究を遂行していく。
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Causes of Carryover |
2019年度末に予定していたフィールドワークと研究会が延期になったため未使用額が生じている。未使用額については2020年度の助成金とあわせてフィールドワーク、および、研究会の旅費、もしくは、資料の収集費に用いる予定である。
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Research Products
(2 results)