2018 Fiscal Year Research-status Report
Conceptualization of Green Human Resource Management
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17K13788
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
福井 直人 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (00510918)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地球環境志向の人的資源管理 / 人的資源管理 / 環境経営 / 持続可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、環境問題の解決に対して、企業におけるHRMがどのように貢献しうるかについて、Green Human Resource Management(以下GHRMと略)という概念を手がかりに議論を進めることにあった。まず、GHRMに関する先行研究レビューを通じて、GHRMとはどのような意味をもつ概念であるかを確認した。そのうえで、同概念が生成および発展してきた系譜を学説史的にたどった。次いで、GHRMが具体的にどのような制度から構成されるのかを確認し、それぞれの制度の特徴について先行研究をもとに整理した。次いで、GHRMの分析枠組の構築に向けて、GHRMの説明変数および従属変数となる概念として、いかなるものが先行研究において取り上げられてきたかを整理した。これを踏まえ、本論文独自の分析枠組を試論的に提示した。さらに、環境パフォーマンスと財務的パフォーマンスとの両立を実現するため、GHRMと戦略的人的資源管理(Strategic Human Resource Management:SHRM)の統合が可能か否かを検討した。最後に試論的にではあるが、GHRMをベストプラクティスとして土台に位置づけ、その上に事業戦略に適合的なSHRMを乗せる統合的分析枠組を提示した。そして、この枠組に基づき質問票を作成し、A社(企業名は非公開)に対しヒアリング調査を実施したところである。同社のケーススタディは概ね完成に近づいている。しかし、以上の研究実績については、何らかの成果物として公刊するには至らなかった。ただし、今年度中に本テーマに関する論文を刊行することが既に決定しており、また9月に関西大学で開催される日本経営学会全国大会における自由論題として報告することとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のように、先行研究レビューについては現時点では完成のめどが立ちつつあるが、当初予定していた前年度3月末までの研究成果公表に至ることができなかった。というのは、環境経営論の論文が思いのほか多く、その読解に時間がかかったためである。また、昨年9月に腺腫様甲状腺腫が見つかり10月上旬に外科的手術を受けた結果、本来10月に予定していた企業へのインタビュー調査が11月に延びてしまったことも、成果物公表が遅れた大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
繰り返すが、文献レビューおよびヒアリング調査はある程度進められたものの、研究成果として何らかの成果物を公刊するにはこれまで至っていない。ただし、研究成果については今年度中に論文として刊行することが決定しており、また9月に関西大学で開催される日本経営学会全国大会における自由論題として報告することとなっている。あとは可能であれば、上記A社以外の企業にアプローチし追加のケーススタディを行うほか、サーベイ用の質問票を作成し中規模のアンケート調査を実施することも検討しているところである。いずれにせよ、データは今夏までにはおそらく十分に集まりそうであるから、論文公刊および学会報告は必ずこの年度内に実現できるものと確信している。幸いにも本事業に対する支援について1年間の延長が認められたため、本研究計画全体については大きな変更なく進められるものと思われる。
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Causes of Carryover |
当初から所有している物品により研究を進められたことで、物品の新規購入額が押さえられたこと、また予定よりも出張回数が少なく旅費支出が少なかったことにより、次年度使用額が生じた。
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