2017 Fiscal Year Research-status Report
Succession Expectations of Family CEOs and Investment Time Horizons
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17K13792
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井口 衡 早稲田大学, 商学学術院総合研究所, 助手 (60633906)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中小企業 / 海外進出 / 事業承継 / 同族企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の前半は主に、調査票設計の下準備としての中小企業関連の文献調査、および中小企業の実際の動向に関する調査を行った。その結果得られた主要な知見は以下の2点である。まず、中小企業の中でも経営者一族による株式所有が行われている同族企業においては、財務的なリターンだけではなく、家族が企業に影響力を行使する力の維持や、家族による支配の継続といった、家族の情緒的なニーズを満たす非財務的側面も、不確実性を伴う投資に関する意思決定の重要な準拠枠組みとなっていることを確認した。この点については社会情緒的資産(Socioemotional Wealth)という概念をもちいて理論的・実証的研究が行われている。さらに、中小規模の企業においては後継者の確保が大きな問題となっている一方で、この問題を取り上げた既存研究においては、後継者の有無が現職の経営者の戦略的意思決定にどのような影響を与えるかという点については、その重要性が指摘されているものの、直接的には取り上げられていないことが明らかになった。 平成29年度の後半は、文献調査および動向調査から得られた知見をもとに、分析モデルを作成し、調査票の原案を作成した。調査票の原案作成後、調査票における質問項目が分かりやすいものとなっているか、適切なページ数、実施時期、また専門用語の解説が不足していないかなどといったチェックを外部調査期間とともに行った。また現段階での研究成果を国内外の学会で報告し、フロアから有益なコメントを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究計画においては、、調査票設計の下準備としての中小企業関連の文献調査、および都内中小企業に対するインタビュー調査を行う。そこから得られた情報をもとに、モデルを作成し、調査票の原案を作成することを予定していた。最終的な目標であった調査票の原案作成まで達成できており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、作成した調査票原案をもとに中小企業経営者に対してインタビュー調査及びプレテストを行い、調査票の最終版を作成する。完成した調査票は年度後半に東京23区の中小企業に配布する。得られたデータを整理し分析を行う。平成30年度後半から平成31年度にかけては、分析から得られた結果もとに論文を執筆し、国内外の学会で報告する。得られたコメントをもとに論文を修正し学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
年度末に平成30年度に行う国際学会での報告が決定したため、平成29年度末以降残っていた助成金は次年度に使用することとした。
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