2017 Fiscal Year Research-status Report
AI- based Demand Forecasting for Short Life-cycle Products
Project/Area Number |
17K13801
|
Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
岳 理恵 桃山学院大学, 経営学部, 准教授 (80584911)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 需要予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
需要予測は,生産計画を立案する際の出発点となるものであり,重要なプロセスである。本申請課題の研究対象とするコンビニエンスストアチェーンに鮮度の高いデリカ食品を供給する食品企業においても,激しい市場ニーズ変動の中で,的確な需要予測をたてて,いかに短い納期で多品種商品を生産するかは難しい課題である。 本研究課題は,ライフサイクルの短いデリカ新商品の発売直後の期間(1~4週目)に焦点を当て,AI(Artificial Intelligence;人工知能)の活用によって需要数量および需要動向を定量的に予測する方法の開発を目的とする。上述の研究目的を達成するために,今年度においては,新商品の需要予測結果が企業経営活動に影響する範囲をサーベイしてきた。また,需要予測手法を選定するために,需要予測と意思決定の関係や,需要予測法の分類と活用領域について,特に,マーケティングに関る時系列分析手法,ニューラルネットワーク,決定木の活用領域に関する先行研究の研究範囲を明確にした。さらに,研究対象企業となるデリカ商品の製造現場で蓄積されたビジネスデータの整理・分析を実施した。 製造・ロジスティクス現場においては,種々のビジネスデータを蓄積しやすくなっている一方,プロセスの進捗管理をリアルタイムかつ継続的に遂行するには,「データを有効活用できない」という難点がある。研究対象企業の既存ビジネスプロセスについて分析した結果,本研究課題で得られるAIを活用した新しい予測手法を確立できたとしても,リアルタイムな意思決定を支援できる生産・物流日程計画の立案が困難な課題として残されていることがわかる。この難点を解決するには,蓄積された種々のビジネスデータを即座に活用できる生産・物流日程計画法の構築,とりわけ現場で運用しやすい新しいスケジューリング法の構築が今後の研究課題にしたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
デリカ食品を製造する企業は,競争が激化している中,消費者の需要にきめ細かく対応するように生産計画を立案することが必要である。本年度において,需要予測と意思決定の関係や,需要予測法の分類と活用領域について,詳細に検討した。特に,マーケティングに関る時系列分析手法,ニューラルネットワーク,決定木の活用領域に関する先行研究の研究範囲を詳細にサーベイしてきた。また,ライフサイクルの短いデリカ新商品の需要数量および需要動向を定量的に予測するために,研究対象企業のビジネスプロセスを分析し,特に予測対象商品の特徴を考慮した具体的な需要予測法の選定作業を実施した。 ライフサイクルの短いデリカ新商品の需要数量を予測するための手順を開発し検証することが,この段階のもう1つの目標である。具体的には,ニューラルネットワークモデルを構築するために,学習用データマートと検証用データマートをそれぞれ準備した。研究対象企業から収集した種々の情報を学習用データマートにインプットし,ニューラルネットワークモデルの学習に利用した。しかし,データマートの準備に大量な時間を要したため,需要数量予測手順の検証は,予定通りに完了できず,やや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
この段階では,構築されたニューラルネットワークモデルに検証用データをインプットし,予測精度を定量的に評価する予定である。また,前年度で得られたニューラルネットワークモデルの予測結果を出力変数として,学習用入力データを入力変数とする決定木分析を行い,売れ筋や死に筋など新商品の受注個数に関するルールを抽出することにする。 ⅰ. 需要動向(売れ筋や死に筋など)を予測するための手順を開発し検証する。 新商品の発注情報,販売時点情報および廃棄情報を入力変数とし,ニューラルネットワークモデルの結果を出力データとして,決定木でトレースし,ルール抽出を行う。決定木モデルにより,週毎需要動向に関するルール抽出を明確にすることで,売れ筋と死に筋など新商品の需要数量の多寡の見通しに関する有効な相関ルールについて,新たな知見が得られると期待できる。 ⅱ. 定性・定量的アプローチを用いて提案する需要予測法の経営活動に与える影響を検証する。 本研究課題で提案する新しい需要予測法は,ライフサイクルの短い新商品を扱う企業にとって,適正な資材補充策ならびに需要動向に適応する生産・物流・販売管理に応える上で重要な要因である。この段階で,ビジネスプロセス分析の観点から,研究対象企業の過去のビジネスデータを用いて,新しい需要予測法の経営活動に与える影響を定量的に検証することにする。
|
Causes of Carryover |
今年度において,ライフサイクルの短いデリカ新商品の需要数量を予測するための手順を開発し検証することが,この段階の主な目標であるが,ニューラルネットワークモデルを構築するための学習用データマートと検証用データマートを準備するために,大量な時間を要したため,需要数量予測手順の検証は,予定通りにできず,やや遅れている。そのため,研究成果の発表に伴う国際コンファレンス・海外ジャーナルなどの発表・投稿は,予定よりやや遅れている。次年度において,研究成果を学会報告・国際コンファレンス・国内外の学術雑誌を通じて,発表・投稿する予定である。
|