2017 Fiscal Year Research-status Report
Social Impacts of Online Shopping Logistics Strategy
Project/Area Number |
17K13806
|
Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
宮武 宏輔 流通経済大学, 流通情報学部, 助教 (40784343)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 宅配便 / インターネット通信販売 / 交通量 / 物流費用 / 時間価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度では、既存研究成果を踏まえ分析概念を確認すると共に、海外における配送施策の事例やネット通販に対する政策的な方針についての整理を行った。そのうえで、本研究で分析対象とするネット通販の配送施策をまとめ、配送サービスに応じた配送料金の設定、それに応じた消費者の選択行動を評価する仕組みを構築するために、ネット通販における配送時間の分類と、それぞれの分類に応じた時間価値概念の整理を行った。 ネット通販の配送サービスの整理にあたっては、(1)ネット通販における出荷・梱包費用と配送費用の整理、(2)ネット通販の再配達費用、(3)ネット通販の配送サービスの現状、(4)ネット通販とその配送に関する各国の政策、という4つの視点から行った。ただし、(1)と(2)については、具体的な数値データでの取得は難しく、シミュレーションでの推計と、それを研究会において実務担当者(宅配便事業者)に確認いただく形で整理を行った。 消費者の時間価値選好については、十分な量のアンケートを得るまでには至っていないため、国土交通省(2015)のアンケート、実際の短時間配送サービス(即配サービス)の料金を基に、ネット通販における時間費用推計の枠組みを構築している。アンケートについては、この枠組みの構築を基に、本研究期間内に実施予定である。 交通量削減による社会的余剰評価モデル構築のために、交通経済学における評価モデルを整理した。また、各施策の導入によって変化すると考えられる、消費者の配送サービスの選択行動、ネット通販の利用頻度、その結果生じる貨物交通と買物交通の増減、さらに交通量の変化に伴い、社会的な費用と便益変化する要因とその程度について、帰着表を構築した。そのうえで、貨物量の増減が交通量に与える影響に関する既存研究を基に、宅配便の取扱量に対する交通量増減を評価するモデルの構築を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画における初期段階の、既存研究の整理や分析モデルの構築といった部分については、当初の計画通りに進んでいる。計画では平成29年度でアンケートまでの実施を予定していたが、アンケートについては分析モデルと評価の枠組の両方について整備できてから行うべきであると考え、本年度については既存のアンケートを基に試算を行った。 また、ネット通販における新たな配送サービスに関してのデータや試算が、少ないながらも得られるようになり、推計・分析を行うことができたことも踏まえ、研究順序は入れ替わったものの、研究はおおむね順調に進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、日本の宅配便事業者、または配送を行うネット通販事業者による配送効率化施策について、分析モデルを利用しつつ整理する。 ①公共施設の宅配ロッカーとコンビニエンスストアでの受取:欧州等の調査事例を基に、公共宅配ロッカー等の指定場所受取の効果を検証する。費用については、公共の宅配ロッカーの設置費用、消費者の受取場所までの余分な移動費用、コンビニでの保管費用、配送費用の削減効果、再配達削減効果を考慮する。 ②1時間以内の配送や配送員の現在位置追跡のような配送の時間の見える化:現行の各宅配便事業者の配送時間枠と1時間での配送における到着時間の期待値を算定し、再配達の削減効果、配送事業者のサービス導入による費用増加を考慮する。 ③台車や自転車を利用する配送と宅配ロッカーの組み合わせ:ヤマト運輸の「チーム集配」を基に構築した、事業者の費用とトラック排出ガス削減効果を考慮したモデルを基に、道路の混雑解消効果にの評価を考慮することで、上記の①と②同じ基準で施策の評価を試みる。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた中国への調査が、訪問先との予定調査の都合で次年度に持ち越しとなったこと、アンケート調査を延期したことで予定していた学生人件費を利用できなかったことが主な理由である。 次年度については、現地調査のための研究協力者も含めた旅費として研究費を利用する予定であり、また調査でのデータ整理のための人件費の使用も計画している。
|
Research Products
(5 results)