2018 Fiscal Year Research-status Report
苦情顧客の類型化に基づく補償と説明を基軸としたサービス・リカバリー戦略の構築
Project/Area Number |
17K13811
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
武谷 慧悟 駒澤大学, 経営学部, 講師 (60769917)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サービス・リカバリー / サービス・マーケティング / 苦情 / 補償 / 説明 / 顧客満足 / グローバル・マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目標は、サービス・リカバリー戦略(i.e. 苦情対応戦略)を理論的に体系化し、実務に対する具体的示唆を提示することである。上記の目標を達成するため、消費者の苦情行動に関する理解を深めつつ、有効なリカバリーのあり方についてレビューと実証を進めている。平成30年度の主な研究実績は、以下4点である。 第一に、苦情行動のひとつであるネガティブなクチコミに焦点を当てた研究である。研究の結果、マーケット・メイブニズムといった消費者特性がネガティブなクチコミ意図を高めうることなどを明らかにした。本研究の成果は、国際学会に投稿した。 第二に、主要なサービス・リカバリー手段のひとつである「補償」に焦点を当てた研究である。研究の結果、サービスの失敗で失った資源とサービス・リカバリーによって補償される資源の種類が一致している場合に、より高い顧客評価が得られることなどを明らかにした。本研究の成果は、国内学会にて報告した。 第三に、異文化間サービス・エンカウンター(i.e. 顧客と従業員の国や文化が異なるサービス・エンカウンター)におけるサービス・リカバリーの効果について研究を進めた。研究の結果、サービス・リカバリーの新たな効果として、消費者アフィニティ(consumer affinity)と呼ばれる外国に対する肯定的な態度の向上などを明らかにできた。本研究の成果は、上記とは別の国際学会に投稿した。 第四に、サービスの失敗ならびにサービス・リカバリーに関する研究動向を整理し、テキストの一部として執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度目標として立てた「補償」に関する研究の学会報告、グローバル・マーケティングの知見を取り入れた研究成果の国際学会への投稿、サービスの失敗とリカバリーに関する研究全般の動向整理の3点は、概ね達成することができた。さらに、苦情行動研究については、成果の一部を国際学会へ投稿することもできた。その一方で、補償に関する研究は論文投稿までを視野に入れていたものの、未達成のままである。以上を総合的に判断し、現在までの進捗状況について「おおむね順調である」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、「補償」と並んで主要なサービス・リカバリー手段のひとつである「説明」に関する実証研究を進める。ただし、これまでのレビュー結果に基づくと、研究の方法等については当初の方針を大幅に変更することも検討しなければならないと考える。当初は消費者を対象とした仮想シナリオ実験を予定していたが、近年の当該領域の研究動向を見ると、多様なデータ収集方法や分析方法によって興味深い知見を提示しているものが増加しているためである(e.g. Beverland 2010; Marinova et al. 2018)。2019年度前半は、研究方針を慎重に検討し、年度後半から実証研究を進めていきたい。 また、最終年度になるため、前年度までの研究成果を論文化することにも引き続き注力していきたい。
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Causes of Carryover |
初年度に計画していた調査を見送ったため、現在に至るまでその分の次年度使用額が生じている。最終年度は、新たに進めた研究の調査を複数回実施するとともに、国際学会での報告も予定しているため、それらに有効活用したい。
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Research Products
(2 results)