2017 Fiscal Year Research-status Report
農業会計における測定属性の理論形成と財務指標の開発
Project/Area Number |
17K13817
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
内藤 周子 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (10610181)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 会計学 / 公会計 / 財務会計 / IFRS / 農業会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、農業会計に関する収益の認識・測定に着目し、測定属性の理論形成と財務指標の開発をすることである。 平成29年度は、測定属性の理論に焦点を当てた研究を行なっている。第一に、”Conceptual Frameworks: A Text Mining Approach”と題する論文について、2017年9月にMeditari Accountancy Research Conferenceで報告した。財務報告に関する概念フレームワークには、財務会計・財務報告についての基礎的な前提や諸概念が体系的に要約・整理されている。そこで、複数の概念フレームワークをテキストマイニングの方法を用いて分析することで、基準設定主体が設定する会計基準における測定属性の基盤となる思考の理論的な背景について考察を行った。複数の基準設定主体が「情報」を意識して概念フレームワークを設定していることを明らかにした。第二に、2018年3月に日本会計研究学会東北部会で「農業会計における収益認識」と題する報告を行った。契約等で農作物を販売できることがある程度確定している自然栽培を行う農業者が、どのようなタイミングを収益の認識と考えているのかについて現場の感覚を探索した。予備調査で「苗半作」「苗八作」といった言葉が聞かれた一方で、多くの農業者は収益の認識に関して苗の段階ではまだ儲かったと感じていないことを明らかにした。本調査の対象となっている農業者は、収益の認識について保守的な傾向にあるといえる。これは現場の感覚を踏まえた検討である点で、財務指標の開発に関する研究となっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
財務報告に関する概念フレームワークについて検討をすることは、測定属性の理論的な背景を明らかにするうえで重要であるものの、農業に関する会計基準及び企業による開示の状況に関する検討にかける時間が不足してしまった。農業会計における収益認識に関する学会報告は、財務指標の開発に関連するものではあるが、測定属性の理論についての検討が限定的であるので当初の計画からみると満足できるものではない。研究計画の課題に沿った研究成果を出せていると評価できると思われるが、以上の理由から、当初の研究計画からみると「(3)やや遅れている」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に設定していた測定属性の理論形成を促進するために、公正価値にかかわる学説等についてさらに探索を行う。それと並行して、国際的な会計基準及びそれに準拠して開示を行なっている企業の状況の把握を行うことを計画している。公正価値で測定するための技術的な問題がないにもかかわらず公正価値による測定を適用してこなかった事実を踏まえて、検討を行う。これまで学会発表した内容について、ジャーナルに論文を掲載されるように努力する。
|
Causes of Carryover |
国内での研究発表に予想したほどは旅費がかからなかったので次年度使用額が生じた。次年度に研究成果発表を積極的に行うことを計画している。
|