2017 Fiscal Year Research-status Report
アナリストの包括利益情報の有用性・活用手順に関する実証分析
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17K13819
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| Research Institution | Fukushima University |
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Principal Investigator |
根建 晶寛 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (60739225)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 財務会計 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
この研究は、包括利益に関する基準導入後において、アナリストがどのような分析手順で包括利益を1期先の当期純利益予想（将来予想）に結びつけているか解明する点を目的とする。アナリストの立場からみて、従来までわが国においてもっとも重視されてきた当期純利益や経常利益と比較して包括利益は将来予想に資する情報か、将来予想分析において役立つ会計情報であるとすれば、いかなる時に活用されうるか、この2点を検証する点に大きな意義がある。
研究目的を達成するために、重回帰分析に代表される統計的手法を用いた実証研究を行う必要がある。そのために欠かせないことは、先行研究を丁寧に整理することであり、平成29年度、申請者は自身の研究を行う素地を整えることを目標とした。具体的には、平成29年度において、申請者は国内研究を中心として、先行研究で実施されてきた検証内容と研究上の背景、そこから提示されてきた検証課題、実証的な研究上の分析モデルならびに使用されやすい変数を理解し整理することを試みた。この研究では、日本における主な利益に対するアナリスト予想の傾向を実証的に明らかにすることを目的としているため、わが国と諸外国で蓄積されてきた主要なアナリスト予想に関する先行研究を優先的に整理し、熟読する必要があった。国内におけるアナリスト予想と包括利益に関する先行研究を整理することができた。わが国における先行研究の内容や潮流、検証時に使用されている分析モデルや変数をある程度理解できた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この研究では、日本における主な利益に対するアナリスト予想の傾向を実証的に明らかにすることを目的としているため、わが国と諸外国で蓄積されてきた主要なアナリスト予想に関する先行研究を優先的に整理し、熟読する必要があった。現段階では、①わが国で公表された出版社系の記者予想とアナリスト予想のコンセンサス予想が株価に寄与しているかに着目した先行研究、②予想精度、各予想の特質を比較し検証した先行研究、③アナリスト予想の多寡あるいは企業規模の大小が株価や企業価値、予想精度にどのような影響を与えているかを検証したわが国における先行研究の整理はおおむね順調に進んでいる。特に、各文献の内容の把握や先行研究上で書かれている研究者らの見解を整理するだけでなく、実際の分析モデルを理解した上でどのような改善や発展をはかることができるか一部ではあるが検討することもできた。実際に平成29年度の上期において、この研究の途中経過を研究会で報告し、いくつか有益な意見をもらうこともできた。
しかし、わが国の文献を網羅的に熟読することに時間を割いたことで、現段階では諸外国で蓄積されてきたアナリスト予想研究の精読及び整理が充分にできていない状況にある。こうした遅れから、日本と海外研究においてどのような研究上の背景や研究者間の解釈に違いがあるか理解が進んでいない。他方、アナリストの環境も異なるだろうが、具体的な調査が進んでいない状況にもある。
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| Strategy for Future Research Activity |
現段階では諸外国におけるアナリスト予想の精読及び整理が充分に進んでいない状況にある。平成30年度における当初の研究計画を一部変更し、まずは優先的に諸外国のアナリスト予想に関する先行研究の整理を行う。そして、わが国における先行研究整理時と同様に、諸外国の先行研究で整理されてきた研究内容、背景及びそこから提示されてきた検証課題、分析モデルならびに使用されやすい重回帰分析の変数を理解しある程度は整理することを試みる。
残る部分は、当初の申請書に記入した内容に添って研究を進める。利益調整に関する先行研究を整理し、特にわが国で重視されてきた当期純利益がアナリストにとって有用でない場合に、彼らが経常利益と包括利益のどちらを有用な会計情報として活用しうるか検証する。
すでにある程度、先行研究の整理を終えているわが国の研究で使用されている変数を調べると、重要な変数の一つにアナリストのカバレッジ数があげられる。このアナリスト予想カバレッジ取得に際して、当初はデータベースSPEEDAを利用する予定であった。しかし、急遽、従前からのサービス変更にともない、IFIS社のコンセンサス予想オプションの提供が終了された（正確には廃盤となった）。SPEEDAのままでは、先行研究においてアナリスト予想の高低に大きな影響を与えると言われているアナリストの人数を取得できない。そのため、申請者は代替案としてQUICKのアストラマネージャーを利用する。平成30年度内に諸外国のアナリスト予想研究と一連の利益調整研究の整理を行い、実証分析を行う際に用いる先行研究上の重要な変数を入手し終えることを目標とする。
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| Causes of Carryover |
先にふれたように、平成29年度はわが国の文献を丁寧に精読することに多くの時間を割いた。そのため現段階では、外国で蓄積されてきたアナリスト予想研究の精読及び整理が予定通りにできていない状況にある。予定の遅れから、日本と海外研究においてどのような研究上の背景や研究者間の解釈に違いがあるか理解が進んでいない。
以上の理由により平成29年度に購入する予定であった専門書籍について、具体的にいかなる書籍を購入するべきか厳密な判断をするために当初予算を執行しなかった。また、事務用品については、現在有しているもので代替できた。一連の繰越金額は平成30年度に書籍の購入に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)
