Empirical Analysis of the Usefulness of Analysts' Comprehensive income information and Utilization Procedures

2022 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 17K13819
• Research Institution: Fukushima University
• Principal Investigator: 根建 晶寛 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (60739225)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: アナリスト予想 / 包括利益 / 当期純利益 / 経常利益 / リサイクル / キャッシュフロー・パターン

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、包括利益に関する会計基準導入後において、日本企業の分析を担当するアナリストが連結損益計算書上の当期純利益よりも包括利益を利用しているか。その他の包括利益をどの程度、アナリスト自身の分析に織り込んでいるか実証的検証を行っている。特に、アナリストが担当する企業特性の違いによって、包括利益やその他の包括利益が分析に織り込まれる度合が異なるかに注目している。2019年度、日本会計研究学会で報告したプレテストの興味深い分析結果は、①平均的にアナリストは、その他の包括利益を翌期の予想改訂に織り込んでいない、② R＆D投資が自社の獲得した当期純利益へと寄与していない企業群では、経常利益よりも包括利益にアナリストが注目する可能性を示していた。その後、関連研究として、日米のR＆Dに関する会計・法制度変遷や有力企業の事例を確認した日本語論文を著名な雑誌に公表した。
そして、実証研究を行う際の変数もほぼフルサンプルを取得した。特に最終年度は、③新たにキャッシュフロー・ライフサイクル（企業ステージを「導入期」「成長期」「成熟期」「再編期」「衰退期」に分ける）に関する変数を丁寧に取得するのに、相当程度の時間を要したが、分析サンプルをすべて取得し終えた。また、④その他の包括利益のリサイクルに関する海外の先行研究レビューを増やし、当該利益のリサイクルが、アナリストの予想改訂だけでなく、予想誤差にとっていかなる影響を及ぼすか、およその統計的検証は済ませている。
本研究は将来的に海外ジャーナルへの掲載を目標としている。科研費取得後、細かい検証課題の再検討、分析方法の広範な学習などもあり、現在、いまだ進行中である。英文原稿の完成に向けて鋭意作業中であるが、現在までに興味深い検証結果がいくつか確認でき、評価の高い国際誌への掲載に向けて、努力していく予定である。