2017 Fiscal Year Research-status Report
Decision Making Model for Relationship Marketing Investment based on Bathtub Model
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17K13825
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
松岡 孝介 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (30453351)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 関係性マーケティング / 収益会計 / マルコフ過程 / 顧客生涯価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,(1)本研究で提示する技法をモデル化するとともに,(2)関係性マーケティングに関わる先行研究サーベイを行うことを取り組み課題として挙げた。 (1)のモデル化は,さらに4つのステップに分かれる。すなわち,ⅰ)バスタブ・モデルについての数学的検討,ⅱ)収益会計におけるマルコフ連鎖の検討,ⅲ)レズリー行列についての検討,ⅳ)これらの検討結果の統合と新しい予測モデルの構築である。i)については,バスタブ・モデルを数学的に検討し,2つの論文を執筆することができた(Matsuoka, K. (2018). Variance Analysis in Fixed Revenue Accounting および Matsuoka, K. (2018). Bathtub Model Variance Analysis at a Japanese Hotel Chain. どちらも次の書籍に所収。Suzuki, K., Ishii, H., & Gurd, B. (Eds.) (2018). Fixed Revenue Accounting: A New Management Accounting Framework, Singapore :World Scientific.)。 ii)およびiii)については,収益会計におけるマルコフ連鎖およびレズリー行列にもとづいて顧客の獲得,維持,拡大によってもたらされる現在価値を計算する方法を考案した。その成果はアジア太平洋管理会計学会(APMAA)の2017年度年次大会のプロシーディングスに査読付きで掲載された(Matsuoka, K., (2018, November 7). Evolving Markov Chain Model in Revenue Accounting. Paper presented at the 2017 Annual Conference of APMAA)。また,2017年度 第2回 日本組織会計学会研究会でも,「収益会計におけるマルコフ過程と顧客生涯価値」というタイトルで報告を行った。 (2)の先行研究サーベイは,着実に文献を読み進めているが,形ある研究成果まではまだ至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の最初の作業としては、収益会計におけるマルコフ過程や、数理生態学の分野で発展したレズリー行列を援用して、バスタブ・モデルを定式化することを計画していた。この作業は、当初に想定した以上の研究成果を上げたと考えている。なぜなら,研究計画上は国際学会におけるプロシーティングス提出と報告を行うことしか予定していなかったが,その他に英文論文を2本出し、また国内ではあるが学会報告を1回追加で行うことができたからである。 だが,2017年度末までに顧客生涯価値やカスタマーエクイティに関わる文献サーベイを終わらせることを予定していたが、これはまだ完了していない。その理由としては,当初の研究計画では予定していなかったが,本研究に関わるデータを提供してくれる企業があらわれ,当該企業とのやり取りに時間を割かなければならなくなったからである。 文献サーベイに遅れは生じたものの,企業の協力を得られたおかげで,最終的には本研究は当初想定していた以上の成果をあげられることが期待できる。また,文献サーベイも2018年4月以降に鋭意進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り,文献サーベイについてはやや遅れが生じている。そのため,当初は2018年度前半までにサーベイ論文として発表することを想定していたが,これを2018年度後半に先延ばしする。 また,現在も研究協力企業とのやり取りは進んでいるが,着実にデータ提供を受けながら分析を進めることができている。このデータは,本研究で構築したモデルの実務的有用性を確認する上で重要な役割を果たす。このデータを利用した研究成果の一部は,早ければ2018年度後半には公開したいと考えている。 2018年度中には,モンテカルロ・シミュレーションを利用して,本研究のモデルが顧客の獲得,維持,拡大を効率よく行う上で有用であるかどうかの検証を行いたい。だが,モンテカルロ・シミュレーションの分析成果を論文としてまとめる作業は,2019年度までずれ込むかもしれない。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由の主たる理由は、2つある。1つは、物品費としてパソコンおよびデータ解析ソフトウェアの購入を予定していたが、この時期を翌年度まで遅らせたからである。遅らせた理由は、パソコンおよびソフトウェアは初年度に購入しなくても研究計画には遅延が生じないこと、また、翌年度により新しいバージョンのものが入手でき、その結果として研究効率が上がると考えられたからである。したがって、物品費にかかる残額は翌年度には消化できる予定である。 もう1つの理由は、旅費が予定よりもかからなかったためである。初年度は本研究に関わるもの以外で学会出張の予定が生じなかったため、所属大学から支給される旅費で本研究に関わる旅費の多くを賄うことができた。残額は、次年度における物品費(主に書籍の購入)あるいは旅費として消化していく予定である。
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