2018 Fiscal Year Research-status Report
継続調査による大阪の地方自治と住民投票を事例とした直接民主主義の総合的解明
Project/Area Number |
17K13844
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
伊藤 理史 同志社大学, 政策学部, 助教 (70766914)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 住民投票 / 投票行動 / 首長選挙 / 地域政治 / ポピュリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大阪の地方自治と住民投票を事例として、有権者の「直接民主主義」へのまなざしとその変化のメカニズムを総合的に解明することである。近年日本では、地方自治を中心に、有権者に具体的な政治的争点についての民意を直接問う、住民投票の実施例が増加している。また国政でも、2016年7月10日の第24回参議院議員通常選挙の結果、改憲勢力が議席の2/3を超えた為、憲法改正の是非をめぐる国民投票の将来的な実施可能性が高まっている。したがって住民投票や国民投票のような、いわゆる「直接民主主義」の実態解明、具体的には住民投票の実証研究(有権者の投票行動の規定要因分析)が、政治社会学の重要課題といえる。そして近年の住民投票のうち最も社会的関心が高かったのは、大阪の地方自治における事例である。2015年5月17日実施の大阪都構想の是非(大阪市区廃止と5特別区新設)をめぐる住民投票では、反対が賛成を僅差で上回り、大阪都構想を推進する橋下徹や大阪維新の会など橋下陣営が敗北した。しかしその後2015年11月22日実施の大阪市長・府知事選挙では、再び大阪都構想を公約に掲げた橋下陣営が勝利した(再度の住民投票も予告)。このように有権者の投票行動は複雑であるが実証研究は行われていない。そこで研究代表者は、近年の直接民主主義の典型例として大阪の地方自治と住民投票を取り上げ、その実態解明を行う。 2018年度は、2017年度に引き続き、研究代表者が次期住民投票にあわせて実施予定の新たな社会調査の企画・実施準備を進めた。また全国調査データを用いた二次分析を行い、有権者の再分配選好の規定要因を検討した。今後は、これらの準備・知見にもとづいて新たな社会調査を実施し、データ分析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな社会調査の企画・実施準備が進捗しているため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大阪市長・府知事クロス選挙または次期住民投票にあわせて新たな社会調査を実施予定である。実施後にはデータの整形・クリーニングと分析を行い、研究成果を学会報告と論文の形式で発表していく。
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Causes of Carryover |
次期住民投票にあわせて新たな社会調査を実施する関係から、当初初年度に予定していた社会調査の実施を延期した。2017年度と2018年度の研究費を合計した上で、新たな社会調査を実施する予定である。
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