2017 Fiscal Year Research-status Report
脆弱性の社会的機能の受容プロセス―ミックスド・メソッド・アプローチによる日仏比較
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17K13845
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樋口 麻里 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (80755851)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 精神障がい / 社会学 / フランス / アソシアシオン / 脆弱性 / 社会的包摂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下を実施した。(ⅰ)当初計画の通り、精神障がい当事者団体のアソシアシオンが主催するトリアローグと呼ばれるプログラムの参与観察と、アソシアシオン代表者へのインタビューを実施した。トリアローグは、精神障がい者・家族・医療従事者の立場の異なる三者が集い、精神医療や地域生活について意見交換をするプログラムである。トリアローグは3か月に1回のペース、すなわち年に4回開催されており、本年度はそのうち2回について参与観察を行った。調査では精神障がい者とのコミュニケーションに関するトピックに焦点を当て、精神障がい者・家族・医療従事者間で意見の相違が生じる具体的な場面について情報を収集した。本調査について、2018年度に開催される国際社会学会(International Sociological Association)への報告エントリーが受理された。(ⅱ)本研究では参与観察やインタビューから得られる質的データを扱う。そこで、質的データを効率的に分析するためのQDAソフトウェアの利用方法と、質的データ分析の教育におけるソフトウェアの利用について、研究ノートとして発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通りフランスでの質的調査を実施し、またその成果について国際学会での発表も受理されたことから、調査はおおむね進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、フランスでの質的調査の結果について、国際学会での指摘を取り入れて、今年度中にフランスでのフィールド調査に関する論文を学会誌に投稿する。次に、精神障がい者イメージに関する質問項目を作成し、そのプレ調査を実施する。プレ調査は、日仏の2か国に登録モニターをもつ、あるいはフランスの調査会社と連携している国内の調査会社に依頼する。
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Causes of Carryover |
本年度は、フランスでの現地調査を優先するため物品購入をなるべく控えた。その結果、次年度使用額が生じた。次年度は学会報告と論文執筆のための文献資料等の購入が多くなるため、それらにこの金額を充当する。
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