2019 Fiscal Year Research-status Report
脆弱性の社会的機能の受容プロセス―ミックスド・メソッド・アプローチによる日仏比較
Project/Area Number |
17K13845
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋口 麻里 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (80755851)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ケア / 脆弱性 / 社会学 / 社会意識 / 社会的包摂 / 日本 / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主な活動は次の2点である。 1)病気や障がいのある人、子ども、高齢者といった脆弱性をもつ人々に、職業としてケアを提供するケア職の女性のジェンダー規範について、全国調査データを用いて分析し、論文として発表した。分析からケア職ほど、よりジェンダー平等な規範を支持することが明らかになった。この一連の研究から、ジェンダー規範などの社会意識に影響を与える属性として、ケア職の重要性を明らかにした。 2)上記の結果と、これまでのフランスでの調査から、社会規範に対して、ケア職の人、また心身の脆弱性をもつ人に定期的に接する機会のある人は、ケア職でない人や心身の脆弱性をもつ人と接する機会がない人と比べて異なる態度をもつ可能性が示唆された。これらの知見を踏まえて、心身の脆弱性に触れる経験と社会意識の関係を検証するために日仏比較webアンケート調査の設問を設計して、実施準備を進めた。 調査票の設計と実施にあたって、南山大学森山花鈴准教授らの協力を得て、心身の脆弱性と関連があると予想される社会意識の項目を絞り込んだ。また、精神疾患と関連が深い自殺に対する意識項目も取り入れた。調査を本年度実施する予定だったが、実施前に新型コロナウイルス感染症の拡大が拡がり、調査対象地域の人々の生活が急変したこと、また日本とフランスでは各政府による外出自粛要請の内容や要請時期がずれたことを考慮して、調査開始を翌年度にずらすことに変更した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に日仏比較調査の実施直前に、新型コロナウイルスの感染が拡大し、フランスも日本も非常事態に入った。日常生活の仕方が急激に変化したことを考慮して、調査票を設計し直したため、年度内の調査実施が難しくなり、実施を翌年度に繰り下げることに変更した。
|
Strategy for Future Research Activity |
日仏比較web調査を年度初旬に実施し、年度内に分析と論文投稿を行う。また、これまでのフランス調査についても論文投稿を行い、プロジェクト全体の結果をまとめる。
|
Causes of Carryover |
調査実施直前に新型コロナウイルスの感染が拡大がおこり、調査対象地域の人々の生活が急変したことを考慮して、調査票を修正し、調査時期を遅らせたため、調査費用分の予算が未使用となった。次年度使用となった予算は、調査費用として使用する。
|