2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K13846
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
平井 勇介 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (60757524)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 環境保全 / 地域づくり / 社会学的モノグラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
経済重視の社会から環境保全を志向する社会へと、人びとの価値観が変化しつつあることがしばしば指摘されている。こうした価値観の変化が生み出す矛盾を象徴的にあらわしているのが、本研究の対象とする事例地であると思われる。事例地では、徹底的に自然環境を破壊してきた公共事業の反省を踏まえて、県が主導で自然環境保全的な活動を計画したのであるが、それに対して地元が大反対をしている。その一方、地元では住民主体の資源管理や環境保全型の地域づくり活動を展開してきた。本研究の目的は、こうした環境保全に対する考え方の違いを意識しながら、地元の環境保全型地域づくりの論理を社会学的モノグラフを通じて明らかにすることである。 平成31年度(令和元年度)は主に以下の2点を中心に研究を行った。ひとつは、社会学的モノグラフの方法論の検討・まとめである。平成30年度から取り組んでいる方法論の検討作業もある程度の見通しができ、「価値闘争としての社会学的モノグラフ研究」(仮)として成果をまとめているところである。主には「事実」認識のコペルニクス的転回を引き受けた形で、どのように科学的方法論(特にモノグラフ研究)を構築するのか、という問題にこたえようというものである。2点目は、事例地に関わる歴史的資料の収集・整理と聞き取り調査の整理である。生活史を解釈するための歴史的背景や高度経済成長期における開発に対する地域的対応の背景をできるだけ理解するために必要なデータ整理である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成31年度(令和元年度)は、社会学的モノグラフの方法論的な成果を具体的にまとめる作業に着手した。くわえて、フィールドワークのデータ整理を進めた。これらの具体的な成果がまだ論文として出すことができていないのであるが、コミュニティ研究という意味合いで本研究と関連する成果があったため、全体の研究の進捗状況としてはやや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスのため、研究期間の延長も検討している状況である。 今後は、以下の3点を中心に資料収集・フィールド研究をすすめ、徐々に成果をまとめていく予定である。 ①高度経済成長期における開発への地域的対応とその経験に関する聞き取り調査・資料取集 ②現代における環境保全型地域づくりに関する聞き取り調査・資料収集 ③事例地の生活史に関する聞き取り調査・資料収集
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響のため、年度末に予定していた現地調査・研究会等の予定が実施できなくなり、大幅な使用額の誤差が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については、調査地の方々の理解を得られるまでは見通しを立てることができないため、本研究の研究期間延長も含めて検討をしている。
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Research Products
(1 results)