2017 Fiscal Year Research-status Report
日米豪における〈男らしさ〉規範の比較社会学――男性性の文化基盤の解明
Project/Area Number |
17K13855
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齋藤 圭介 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (60761559)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 質的比較分析 / ジェンダー規範 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、文化的要因である〈男らしさ規範〉に着目し、日本の男性のワークライフバランスに対する意識とその実態を、日米豪の比較研究から明らかにする。今年度は、課題に関連する史料の収集と整理を行いながら、以下の研究計画に基づき、課題を遂行した。 (1)国際比較を実施するうえで重要な方法論となる質的比較分析の方法論的な認識利得について、9月に方法論の手続きにかんする報告をソーシャル・コンピュテーション学会にて学会発表を行い、11月に方法論の認識利得にかんする報告を日本社会学会にて学会発表を行なった。また日本社会学会『社会学評論』68(3)「質的比較分析(QCA)と社会科学の方法論争(特集号 テキストマイニングをめぐる方法論とメタ方法論)」(12月末刊行)では、テキストマイニング手法との違いを念頭に置きながら質的比較分析手法の方法論的な特異性を論じた。 (2)本研究はアメリカとオーストラリアとの比較を行う。そのために5月にアメリカのミシガン大学を訪問し、社会学の研究者とジェンダー規範について意見交換をするとともに、ミシガン大学の大学院生へのインタビュー調査を実施した。とくに男女におこなったインタビューでは結婚観と就職観がジェンダー意識・ジェンダー規範といかに関係しているかをきくことができた。 (3)日本が公表している公的な男性にかんするデータを総ざらいするための文献収集を行うとともに、〈男らしさ規範〉を検討するために、日本の大都市圏と地方中核都市に生きる男性たちへのインタビュー調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に予定していた質的比較分析手法の方法論の検討は概ね計画通りに進んでいる。また日本の資料と文献収集はもとより、アメリカでの現地調査も十分に行うことができた。今年度に達成をもとに、次年度のオーストラリアへの現地調査と、国際比較分析への移行がスムーズに行われると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、本年度の研究結果をさらに充実させ進展を図る方針である。 まず海外調査については、オーストラリアとアメリカでの現地調査を実施し、国際比較に十分なデータを収集する。オーストラリアには8月に2都市を対象に、アメリカには12月に東海岸の2都市を対象に調査にいく予定である。両国の男性性にかんする先行研究レビューの検討を進めながら、現地の男性たちへのインタビュー調査も引き続き実施していく。 また理論研究については、初年度の研究成果にかんして学会発表や論文投稿等を行い、積極的にその成果を公表していく。さらに、最終年度に実施する事例の国際比較研究を展開するために理論的な枠組みの検討も進めていく。
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Causes of Carryover |
本研究課題について、追加で「若手研究(B)における独立基盤形成支援(試行)」の給付を受けることができた。そのため、当初の予算計画よりもゆとりがある使用額が残った。2年目以降の海外調査のために有効に使用する計画である。
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Research Products
(6 results)