2018 Fiscal Year Research-status Report
日米豪における〈男らしさ〉規範の比較社会学――男性性の文化基盤の解明
Project/Area Number |
17K13855
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齋藤 圭介 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (60761559)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 男性性 / マスキュリニティー / 国際比較 / 質的比較分析 / 生殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、文化的要因である〈男らしさ規範〉に着目し、日本の男性が抱える〈男性であること〉の規範的意識とその実態を、日米豪の比較研究から明らかにする。2年目にあたる今年度は、1年目につづき課題に関連する史料の収集と整理を行いながら、以下の研究計画に基づき、課題を遂行した。 (1)オーストラリア(シドニー、アデレード)の現地調査をした。具体的には、8月の1ヶ月間を使い、University South Australiaのフォーク研究所に客員研究員として滞在をし、現地調査を行った。またそのさい、New Perspectives on the Digital Revolution: Media and Cultural Transformationsのフォーラムにて’Assisted Reproductive Technology (ART)' and its Effects on Masculinityのタイトルで報告を行い、現地の研究者と男性研究について意見交換を行った。 (2)1年目に日本で行ったインタビュー調査の結果を、日本社会学会大会において「男性が妊娠の当事者になるとき――男性不妊治療の専門医と男性当事者へのインタビュー調査から」の題目にて報告をした。また、明治大学情報コミュニケーション学部ジェンダーセンターの研究例会にて、「生殖の当事者とは誰か」という題目で講演会を行った。 (3)国際比較のさいに用いる方法論であるQCAについては、Qualitative Comparative Analysis and Method Controversy in the Social Sciencesというタイトルで、International Workshop on Qualitative Comparative Analysis (QCA)にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目に予定していたオーストラリアへの現地調査は概ね計画通りに進んでいる。また1年目に引き続き日本とアメリカで行った現地調査の結果の整理・分析も十分に行うことができた。1年目と2年目のの成果をもとに、最終年度である3年目で国際比較分析への移行がスムーズに行われると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、本年度の研究結果をさらに充実させ進展を図る方針である。 まず海外調査については、可能であれば再度オーストラリアとアメリカでの追加の現地調査を実施する。2019年度は秋からオーストラリアの研究者を招聘し、共同研究を行う予定もある。 3カ国の男性性にかんする先行研究レビューの検討を進めながら、学会発表や論文投稿等を行い、積極的にその成果を公表していく。さらに、最終年度に実施する事例の国際比較研究を展開するために理論的な枠組みをさらに整備し、具体的な分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初、若手研究Bとして申請をしていたが、独立基盤形成支援を採択後に得られることになり、当初の計画よりも資金面では余裕が生じている。最終年度はアメリカとオーストラリアへの現地調査を追加する予定である。
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Research Products
(7 results)