2020 Fiscal Year Research-status Report
日米豪における〈男らしさ〉規範の比較社会学――男性性の文化基盤の解明
Project/Area Number |
17K13855
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齋藤 圭介 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (60761559)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 男性性 / 生殖 / 生殖補助医療 / 出生前診断 / NIPT / 妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、文化的要因である〈男らしさ規範〉に着目し、日本の男性が抱える〈男性であること〉の規範的意識とその実態を、日米豪の比較研究から明らかにするものである。 4年目にあたる今年度は、これまでの3年間につづき課題に関連する現地で実施したインタビューデータや、入手することができた史料の整理を行いながら、当初の研究計画に基づき、オーストラリア(アデレード)での現地調査を実施する予定であったが、コロナ禍により海外出張が禁止・自粛となり調査の実施には至らなかった。そのため、文献調査を進めるとともに、研究成果の公開に努めた。 今年度は4年目になるため、学会報告および学会誌への投稿を積極的に行い、研究成果の発信を行っている。本科研調査に基づき関東社会学会『年報社会学論集』に「男性の生殖経験とは何か ――育児に積極的にかかわっている男性へのインタビュー調査から」を投稿し、掲載された。また学会誌に社会調査についての寄稿文を3本掲載した。 さらに、第93回日本社会学会では、海外調査結果を和文誌に投稿することの社会学的意味を考察した「『社会学評論』は高嶺の花か?――査読誌に投稿する執筆者の属性とその趨勢」を報告した。あわせて、社会学者による社会調査の意味を問い直す機会となった「社会学への冷笑と羨望――隣接分野からのまなざし」のシンポジウムを企画・司会をした。第68回関東社会学会では、社会調査に基づく投稿論文を取り巻く昨今の状況を考察するため、「査読誌に論文を掲載するためには何が必要か」で報告をした。関東社会学会例会では、英語圏のジェンダー理論の最前線を検討する研究例会「研究例会 理論という実践――ジェンダー理論は社会正義を語れるか」を企画し、当日司会をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は休業を取得したため、やや調査計画を修正する必要が生じた。 本課題は「若手研究における独立基盤形成支援」を受けることができたため、当初予定していた執行計画を見直す必要が生じ、結果として、調査計画をさらに展開することができる予定であった。しかし4年目に予定していた海外調査は休業にくわえコロナ禍で実施できなかったが、かわりに文献研究を進めることはできた。 本科研調査に基づく投稿論文を学会査読誌へ投稿はしており、研究成果の公開についてはおおむね順調に進展している。 研究成果の公開は順調に進んでおり、最終年度である5年目で国際比較分析への移行をスムーズに行うことができると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度にあたる次年度は、当課題の申請時に申告したとおり、本年度の研究結果をさらに充実させ進展を図る方針である。 研究期間の再延長申請が承認されたため、海外への現地調査を追加で行うことを予定しており、その成果を論文や学会等を通じて公開していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外出張ができなかったため、予定していた旅費に大幅に残金が生じた。
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Research Products
(9 results)