2018 Fiscal Year Research-status Report
災害復興下の被災地のコミュニティレジリエンス醸成に向けた研究―復興通貨を事例に
Project/Area Number |
17K13856
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中里 裕美 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (20555586)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コミュニティレジリエンス / 復興通貨 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの目的は、東日本大震災の発生から6年が経過するなか、近年様々な領域において関心が高まっている「コミュニティレジリエンス(=CR)」の概念に着目し、その欧米における研究の現状や動向等を調べるとともに、東日本大震災の被災地において取り組まれている「復興応援地域通貨(以下、復興通貨)」活動の実態とこの復興通貨活動がCRの醸成という観点から地域社会にどのような影響を与えるのかという検討を通して、災害復興下の被災地における復興通貨活動の意義や役割について考察することである。 本研究プロジェクトの2年目にあたる昨年度においては、まず、復興通貨「どうも」の本格稼働期間(2014年2月~)の取引データと会員への質問紙調査のうちKulig et al.(2013)が開発したCR尺度との関係について解析した結果を記した論文を、『Journal of Contingencies and Crisis Management』誌に投稿し、査読を経て掲載決定された。また、復興通貨活動と住民の主観的健康度に関する分析に着手することができ、その一次結果の内容を「2018 Sunbelt Conference」(オランダ・ユトレヒト大学にて開催)において口頭報告することができた。このほか、研究協力者とともに釜石市の被災地域の現状、ならびに復興通貨「どうも」の現地調査を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトの「研究目的」に沿った形で、昨年度にひきつづき、代表者は研究協力者とともに、とくにCRの醸成や住民の主観的健康度という観点から復興通貨活動が地域社会にもたらす影響の解明に向けた調査研究をさらに進めることができたと考えている。また昨年度は、共同で国際学会誌に論文を投稿し、採択(掲載)されたという点からも着実な研究成果を得ることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトをはじめるにあたって「交付申請書」に書いた3ヶ年間のスケジュールの3年度目(令和元年度)の研究計画に沿った形で、ひきつづき研究を進めてゆく。とくに最終年度にあたる次年度においては、海外への研究成果の発信を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
在外研究期間中であったこともあり、初年度に予算を大幅に前倒しする措置を取ったものの、滞在先から国際学会開催地までの渡航費がかなり抑えられたことや大学の英文校閲助成の申請が受理されたことなどにより、初年度から次年度に活用できる繰り越しが生じている。結果として、当初の予算計画通りに研究費の使用ができており、昨年度についても次年度(最終年度)の研究統括や成果報告等のために必要となる研究費を残して、ほぼ当初通りに研究費を使用することができた。 次年度の研究費の主な使用用途としては、成果報告に係る海外旅費や国際学会参加費、研究協力者と本研究プロジェクトの総括をするために必要となる打ち合わせに係る国内旅費、そして本研究の成果を論文として海外に発信するための英文校閲費等が必要になると考えている。
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