2018 Fiscal Year Research-status Report
Social movements and all-party parliamentary groups: Comparative analysis of lobbying strategies
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17K13858
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
原田 峻 金城学院大学, 人間科学部, 講師 (40733829)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ロビイング / 議員連盟 / NPO法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会運動と議員連盟の関係性に関する新たな知見の提供と、社会運動の今日的な動態を明らかにすることを目指すものである。この目的のもと、平成29年度は以下の2つの課題に取り組んだ。 1.理論枠組みの構築:前年度に引き続き理論枠組みの構築をおこない、以下の2つの作業を中心に進めた。 (1)社会運動論におけるロビイングの位置を明確にするため、レパートリー論を参照しながら、ロビイング(陳情・請願)と、他のレパートリー(デモ、署名、寄付・カンパ等)との関係性を整理した。この作業は、同時並行で進む反原発・反安保運動参加者の計量分析の共同研究(科研費17H01005)にも反映され、2018年9月の日本社会学会大会にてレパートリーの比較分析を報告した。/(2)ロビイングをおこなう運動団体の組織化過程を把握するため、社会運動論と組織論を比較検討した。さらに、社会運動論の政治過程モデルやフレーミングの理論がロビイング団体の組織化を捉える上でも有効であることが明らかになった。 2.個別イシューの分析:特定非営利活動促進法(NPO法)を事例に、2つの時期について以下の調査研究を実施した。 (1)上記1(2)で整理した枠組みを用いて、1990年代初頭~1998年のNPO法制定期の分析をおこなった。立法運動団体の組織化を分析すると、政治的・経済的・社会的な構造的条件のもと、組織化の背景に1980年代からのネットワークがあったこと、「法人格」というフレーム調整がなされたこと、等が明らかになった。この成果は雑誌『まちと暮らし研究』に掲載するとともに、2019年6月の日本NPO学会大会で報告予定であり報告論文を提出済みである。/(2)前年度に続いてNPO法2016年改正の調査をおこない、同法改正に関わった衆議院議員にインタビューを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、理論枠組みの検討とNPO法の分析を発展的に進めて、これらについては当初の研究計画よりも多くの研究成果を出すことができた。 ただし、異動に伴う着任初年度の業務や、様々な家族の事情が重なり、当初の研究計画で予定していた超党派議員連盟の活動実態・参加者の把握とNPO法以外の個別イシューの分析を進めることが困難であった。これらについては、平成31年度に重点的に取り組んでいく予定である。 以上を総合して、やや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29・30年度の研究成果を踏まえながら、平成31年度は以下の3つの作業を取り組んでいく。 1.超党派議員連盟の活動実態と参加者の把握:新聞記事データベース、全国会議員のホームページ・ブログ、関連する市民団体のホームページ、国会図書館所蔵資料等を収集・閲覧して、議員連盟の争点となっているイシューの傾向を分析する。 2.個別イシューの分析:平成29・30年度に明らかにしたNPO法と比較しながら、他のイシューの事例分析を進めていく。 3.イシューの横断分析:上記作業を踏まえて、イシュー横断的に提示できる包括的な知見の整理と、イシュー間の相互作用に関する分析を行う。 これらの作業の進捗に合わせて、引き続き成果の取りまとめと発信をおこなっていく。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、前年度から繰り越した物品費を計画通りに使用したが、当初予定していた議員インタビューを国会情勢等によって縮小したこと、および国際学会での報告を諸般の事情から国内学会での報告に変更したことによって、旅費・人件費で支払請求額と実支出額に差額が発生した。 平成31年度は国際学会での報告を計画しており、繰り越し分を旅費として計上して、当初の計画通りの書籍等購入の物品費、国内調査の旅費とあわせて使用する予定である。
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