2018 Fiscal Year Annual Research Report
Reserach of Media Gratifications and Successful Aging
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17K13862
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
小寺 敦之 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 准教授 (40535762)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メディア / ライフステージ / 利用と満足 / リタイア / モラール / 幸福な老い / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に実施した調査(東京近郊居住の58~69歳の男女2600名に対する質問票調査)のデータの分析を行い、学会発表(2件)ならびに論文執筆(1件)を通した成果公表に充てた(現在、引き続き関連論文を執筆中である)。 本研究は、人々のメディアに対する効用認識(メディアに何を求めるかという態度)が「幸福な老い」にどのように寄与するかを検討するものであり、とりわけ就労形態の変化(リタイア)がこれに及ぼす影響を探るものである。 分析の結果、ほとんどのメディア効用は「幸福な老い」(モラール尺度)に寄与しておらず、とりわけテレビの消費的効用とモラールは一貫してネガティブな関係にあることが明らかになった。これはモラールの低い人ほどテレビの消費的効用を高く認識しているということであり、高齢者のテレビ利用に対する従来の見方が過度に楽観的であったことを示唆するものである。また、高齢者のメディア利用に関する従来の研究では、社会との関わりの減少が機能的代替としてのメディア利用を促進するとの仮説を提示してきたが、リタイア者のメディア効用が「幸福な老い」に大きく寄与している証拠も見出せなかった。これはリタイアによって失われた社会活動をメディアが補完するという従来の考え方に異議を唱えるものである。 メディア利用に関する調査研究では、老年期の社会適応について活動理論を支持するものが多いが、本研究はこれに否定的な見解を示すものとなった。
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