2017 Fiscal Year Research-status Report
冷戦期アジアにおける汎リージョナル・メディアの研究――PANA通信社を例に
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17K13864
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
岩間 優希 中部大学, 全学共通教育部, 講師 (00584096)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アジア / ジャーナリズム / メディア / 通信社 / 報道 / 戦後史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における平成29年度の研究計画は、PANA通信社のネットワーク11カ国のうち、台湾、香港、韓国を中心に調査することであった。これに基づき、下記のとおり研究及び発信を行った。 (1)所属研究機関図書館のレファレンスサービスや「World Cat」、各国のインターネット・サーチエンジン、データベース等を利用し、該当国で刊行されたPANA通信社関連の書籍、記事、論文の所在について調査した。その上で現時点で入手可能なものについては入手し、未入手のものについても各機関に複写方法を問い合わせ中である。その他、日本国内で刊行されたアジア史、戦後国際関係史関連の先行研究を収集し、読み込みを行った。 (2)当時の関係者やPANA通信社のOB・OG、遺族への聞き取り調査を複数回行い、公開情報からは得られなかった同社の業務実態や報道内容、人間関係などについても情報収集を行った。上記の(1)で得られた情報と総合し、台湾、香港、韓国のPANA通信社のメディア史的意義を同時代の国際政治や報道の在り方に照らして考察したところである。 (3)本研究以前から継続して行っていたPANA通信社の東京支社、シンガポール支社についての調査研究の成果を『PANA通信社と戦後日本――汎アジア・メディアを創ったジャーナリストたち』(人文書院)として9月に刊行した。本書には本研究の成果も盛り込まれている。さらに、読者から複数のコンタクトがあり、その他のPANA通信社のアジア支局に関する情報がもたらされたことも大きな収穫であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初から予定していた文献調査と日本国内でのインタヴューをほぼ計画通り遂行し、必要な資料も収集することができた。また、いくつかの必要文献についてはこれまでの研究で収集してきたものが利用可能と分かり、スムーズに内容の考察に入ることができた。 一方で、当初予定していた現地調査を行うことができなかった。理由は①研究協力者との日程調整が難航したため、②本研究以前から行っていた研究の成果発表(『PANA通信社と戦後日本』の刊行)が9月となり、8月に現地へ赴くことが難しかったためである。 ただし、現地調査を行うことが出来なかった分、インターネットを介したやり取りなどを実現していたり、当初想定していなかった重要情報を別の協力者から提供していただくことができたりしており、総合して、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は申請書に記載した研究計画でほぼ問題なかったので、30年度も計画通りに進めていきたい。ただその際に、29年度にやり残している資料収集やインタヴューについては早期に実施していく必要がある。現地調査や各国での資料収集においては、研究協力者や研究者仲間を通じて各国在住の助手を雇用し、迅速に進めていく事も検討している。
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Causes of Carryover |
物品費についてはこれまでの研究で収集した文献が利用可能であったため、当初予定していたよりも新規に購入せずに済んだため残りが生じた。これについては各国語での文献調査をさらに追加で行い、翻訳費に充てるなどして有効利用したい。 また、8月に予定していた香港、台湾、韓国での現地調査が実現できなかったため、旅費、人件費、その他に差額が生じてしまった。これについては30年度に現地調査を実施する計画でいる。
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Research Products
(1 results)