2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K13870
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仲 修平 東京大学, 社会科学研究所, 助教 (60732401)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 就労支援事業 / ひとり親女性 / 自治体間格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度(平成30年度)の研究実施状況は,単著(1冊),学術論文等(3本)と学会等(2本)の成果を挙げたことである.採用2年目は所属研究機関の研究環境を十分に活用し,これまでの調査・研究を刊行することに重点を置いて活動を行なった.以下,主な研究実施状況を報告する.なお,【1】,【2】等の表記は,後述の業績リストに対応している. 【1】『岐路に立つ自営業―専門職の拡大と行方』(勁草書房)は,全国規模の大規模社会調査データ(社会階層と社会移動全国調査や日本版総合的社会調査など)を用いて,戦後日本の自営業層の趨勢を明らかにすることを試みた.とりわけ,自営業層の専門職の内部が熟練職から専門職へと変容しつつあることを示した.地域に非雇用の就業機会が存在するか否かは,就労困難者の働き口を提供するうえでも重要な視点をもたらすことを説明した. 【2】「専門職化する日本の自営業─1955年~2015年SSM調査を用いた計量分析」は【1】の業績の一部をより専門的な視点から検討したものである.具体的には,社会階層と社会移動の全国調査(SSM調査)の1955年から2015年までのデータを用いて,自営業と専門職の関連の強度が1955年から2015年にかけて常時雇用と比べると次第に強まったのか、個人の職業移動において専門的・技術的職業の自営業(自営専門職)への参入が他の職種の自営業への参入に比べて近年になるほど生じやすくなっているのかを検討した. 【3】「大阪府における地域就労支援事業の展開過程―自治体間格差の分析」は, 2016年に実施した大阪府就労支援事業調査に関するデータを用いて,自治体の間で相談者数の実績が異なるのはなぜかについての記述的な分析を行ったものである.2019年度はこの報告および得られたコメントを踏まえて,英語論文を執筆している(2020年刊行予定).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は本科研費と直接的に関わる調査の結果を学会報告,報告書論文および著書の刊行を通して整理することができた.2019年度に取り組む研究成果の準備を整えることができたので「おおむね順調に進展している」と評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,これまでの量的調査と質的調査の結果を踏まえて,研究会と学会での報告を予定している(社会政策学会等).そこで得られたコメントを踏まえて,著書(分担執筆),報告書論文および投稿論文の執筆に取り組む.
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Causes of Carryover |
次年度に使用額が生じた理由は,調査結果をより詳細に検討した研究を国際学会(2019年7月)にて報告するために次年度で使用することにした.
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