2017 Fiscal Year Research-status Report
ストレングス‐パワー変容を志向した相談援助実習指導・現場実習教育方法の研究
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17K13893
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
山口 真里 広島国際大学, 医療福祉学部, 准教授 (70441566)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ストレングス / 相談援助実習・相談援助実習指導 / コンピテンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、学生のストレングス-パワー変容を志向した教育の過程を明らかにし、それを展開する教育方法を提示することである。 今年度は、ストレングス、パワー、エンパワメント、コンピテンスに関する先行研究を行った。特に経営学、心理学、教育学でも世界的に着目されているコンピテンスに着目した。ソーシャルワーク教育においては、コンピテンスはソーシャルワーカーとしての専門的力量と捉えられ、相談援助実習指導・実習では学生の学習の到達度や実践力としても理解されている。しかしソーシャルワークにおいては、コンピテンスは広く生活体験のなかで培われた適応する力とも捉えられており、学生のコンピテンスについてもこうした捉え方が必要であると考えられる。なぜなら学生も生活を営んできた存在であり、その体験のなかで多様な力をもつ存在だからである。すなわち学生の生活の延長上に専門職教育があり、彼らの生活状況を知り文脈を理解しないことには、専門的力量としてのコンピテンスを推し量ることはできない。さらに言えば、学生たちが自らの生活体験で得たコンピテンスを認識し、その重要性を実感することは、将来彼らがエンパワメント実践を行う力を育てるうえでも重要な課題といえよう。生活者である学生のコンピテンスを涵養し実践へと結び付けていくこと、またそこから彼らの可能性に思いを馳せ、主体的な学びへと生かしていくことは、学生自身のエンパワメントにもつながる。そしてエンパワメント体験を学生の実践へ反映させていくことができる教育の過程が実習スーパービジョンに求められている。そのため、学生のストレングスとパワー、コンピテンスの関係性を読み解き、学生のストレングスをコンピテンスへとつなげ、涵養する教育方法の模索が今後の課題であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は、本年度中に①ストレングス、パワー、コンピテンスに関する概念整理、②相談援助実習指導・実習における学生のストレングス、ストレングス‐パワー変容、エンパワメントの定義づけ、③相談援助実習指導・現場実習の担当教員に学生のストレングスに着目した教育方法のヒアリング調査の実施、④相談援助実習指導・現場実習における学生のストレングス‐パワー変容過程の仮説提示、⑤学生のストレングス‐パワー変容過程を志向した相談援助実習指導・現場実習の教育方法の試案の提示、を行う予定であった。しかし大学の本務に加えて、複数の学問分野にわたる先行研究による①概念整理に時間がかかってしまったため、②相談援助実習指導・実習における学生のストレングス、ストレングス‐パワー変容、エンパワメントの定義付け、が不十分な状態である。そのため③相談援助実習指導・実習担当教員へのヒアリング調査の項目作成や倫理審査申請、④学生のストレングス-パワー変容過程の仮説提示、⑤教育方法の試案の提示、が進捗していない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、相談援助実習指導・実習の担当教員に①学生のストレングスに着目した教育方法のヒアリング調査の実施を行う。調査結果については、大学院生等のアルバイトを雇用し、②データ入力等の資料整理を行う。また先行研究をもとに、博士学位論文研究「ソーシャルワーク実践におけるストレングス-パワー変容過程の構築」で提示したストレングス-パワー変容過程を参照しながら、③相談援助実習指導・実習における学生のストレングス-パワー変容過程の仮説を立て提示してみたい。それと同時に相談援助実習指導・実習での学生の様子をふまえ④学生のストレングス-パワー変容過程を志向した相談援助実習指導・実習の教育方法の試論を提示してみたい。 平成31年度には、前年度で提示した教育方法をもとに①相談援助実習指導・実習でのストレングス-パワー変容を志向した教育実践を行う。ストレングス-パワー変容過程展開の効果を測るため、相談援助実習指導・実習における学生へのアンケート調査・ヒアリング調査項目を作成し、②学生へのアンケート調査・ヒアリング調査を実施する。調査結果については大学院生等のアルバイトを雇用し、③アンケート調査・ヒアリング調査結果の整理を行う。調査結果については、前年度に提示した学生のストレングス-パワー変容過程と照らし合わせながら分析する。さらに調査結果や学生の反応や様子もふまえ、より効果的な教育方法を探り、④相談援助実習指導・実習における学生のストレングス-パワー変容過程と展開方法の精緻化を図りたい。
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Causes of Carryover |
上にも記述したが、大学の本務に加えて、複数の学問分野にわたる先行研究による①概念整理に時間がかかってしまったため、②相談援助実習指導・実習における学生のストレングス、ストレングス‐パワー変容、エンパワメントの定義づけ、が不十分な状態である。そのため③相談援助実習指導・実習担当教員へのヒアリング調査の項目作成や倫理審査申請、④相談援助実習指導・実習担当教員へのヒアリング調査の実施、⑤学生のストレングス-パワー変容過程の仮説提示、⑥教育方法の試案の提示、が進捗していない。したがって次年度使用額については主に④相談援助実習指導・実習担当教員へのヒアリング調査の実施にかかわる旅費や資料整理等の費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)