2018 Fiscal Year Research-status Report
里親委託支援システム構築に関する研究-日英比較研究から-
Project/Area Number |
17K13896
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
山口 敬子 京都府立大学, 公共政策学部, 講師 (60772176)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 里親支援 / 里親委託 / 社会的養護 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、主にイギリス(イングランド)の里親支援の実践状況の確認に取り組んだ。 イギリスは民間(営利/非営利)と自治体の里親支援機関が永く並立しているが、イギリスの主要民間非営利児童福祉団体は、里親委託・養子縁組・被虐待児童治療支援・虐待者治療支援・人権擁護・非行防止・物質関連障害の治療・十代の未婚の母親に対する支援・コミュニティワーク・EU内からの移住児童の定着支援・HIV感染の子どもおよび家族支援など特別なニーズへの支援活動や、調査研究、ロビーイング、ソーシャルアクションなど子どもの最善の利益を保障の実現に努めている。 里親支援について先進事例のあるイギリスの実践状況を明らかにすることは、わが国の里親支援体制を検証するうえで重要な意味を持つと考え、今年度はBarnardo's(民間非営利の里親支援機関)のソーシャルワーカーと、自治体(Hillington)において里親や養子縁組に関わっているソーシャルワーカーに対してインタビュー調査を実施し、それぞれの実践状況や課題について理解を深めることができた。Barnardo'sでは専門性の高い里親を養成しており、いわゆる「委託困難児」(高年齢の子ども、問題行動のある子ども、など)の委託においては自治体がBarnardo'sのサービスを利用する場合がある。そして、独立型民間機関の場合は、benefact(出資者を得ること)が重要となるが、それをどのようにして、どのような理念で求めていくかも考える必要があることが分かった。また、自治体の里親支援機関については5-6年前から活用促進が始まり、なかには民間機関よりもよい実践を行う自治体機関もあることが分かった。 このほか、日本の実践状況についての継続的な検証として、2018年度も「養子と里親を考える会」主催の研修において里親支援専門相談員に対するアンケート調査を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画において予定していたイギリスの里親支援に携わる専門職へのインタビュー調査を実施できた。この実地調査において、自治体の里親支援機関のソーシャルワーカーと民間非営利団体による里親支援機関のソーシャルワーカーの双方の見解を知ることができ、現在のイギリスの里親支援の状況について理解を深めることができた。 また、里親支援専門相談員へのアンケート調査を今年度も実施することで、国内の里親支援の実施状況や課題について考察することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画においては、今年度は本研究の総括として、論考の投稿や報告書の作成を計画していたが、2018年度のイギリス調査時の際に、インタビュイー(民間非営利団体のソーシャルワーカー)より、さらに実践的な学びのために、当該民間支援機関の地方自治体支部(バーミンガム)おける実践状況を観察することを提案された。 バーミンガムにおいてモニタリングを実施することで、民間の里親支援機関のより具体的な実践内容について学ぶことができると予想されるので、2019年度の研究期間においては、イギリスでの実地調査(モニタリング調査)を追加調査として実施する予定である。
|