2017 Fiscal Year Research-status Report
がん患者・家族の終末期における納得いく最期を迎えるための検討要因の解明
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17K13898
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Research Institution | National Hospital Organization Osaka-Minami Medical Center |
Principal Investigator |
萬谷 和広 独立行政法人国立病院機構(大阪南医療センター臨床研究部), その他部局等, 主任 (60597730)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん患者・家族 / 遺族 / 最期の時 / 納得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がん患者とその家族が「最期の時を悔いなく過ごし、納得した最期を迎える」ために、考えておくべき必要な要因と、その要因の内容を構造的に明らかにすることを目的とした研究である。 本研究では、7名のがん患者の遺族に対して、半構造的面接法によるインタビュー調査を実施した。7名の対象者は、癌種に偏りなどが生じない配慮と、配偶者あるいは親や子といった1親等以内の対象者を選定した。調査内容は、終末期や死後を振り返り、「良かったこと、満足できた事柄」、「悪かったこと、後悔している事柄」を自由に語ってもらった。そして、収集したデータを、グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法に基づき分析を行った。 研究の結果、“社会的要因を加味した医療の選択・決定”、“本人の望むことを行うこと”、“患者が家族に想いや考えを残す”をコアカテゴリーとした3つの現象を明らかにすることができた。この3つの現象は、最期の時を悔いなく過ごし、納得した最期を迎えるために考えておく、「終末期における医療の決定」、「納得した最期を迎える生き方」、「残される家族のための準備」を示した構造であった。 終末期そして死後の状況は個別性が高い事象であるが、本研究を通して、納得した最期を迎えるための要因とその構造を、一定の共通性をもって明らかにすることができたことは本研究の重要な成果である。多死社会を迎える日本の現状を鑑みると、本研究の意義は大きいと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書通り、1年目に実施する研究である質的調査(インタビュー調査)を実施し、がん患者の遺族に対して、終末期そして死後を振り返り「良かったこと・満足できた事柄」、「悪かったこと・後悔している事柄」の側面について構造的にその項目と内容を明らかにすることができた。また、研究結果を論文化し、現在、投稿中である。また、学会においても抄録登録中であり、発表の準備を実施している。現在、その研究結果を根拠とした、量的調査の調査票の作成を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目においては、量的調査(アンケート調査)にて、最期の時を悔いなく過ごし、納得した最期を迎えるための要因を、質的調査で明らかにした内容に基づき、統計的に割合や相関を明らかにすること、また、その調査結果に基づき資料化を実施していく。量的調査は、4月から12月、1月からは資料作成を行うスケジュールを検討している。 また、その間に、質的調査に論文の査読結果に対する対応、また量的調査においても、結果が明らかになり次第、結果を論文にし、投稿をしていく予定である。
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