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2020 Fiscal Year Research-status Report

多様性の存在する社会における話し合いの共通基盤の形成過程に関する検討

Research Project

Project/Area Number 17K13904
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

北梶 陽子  広島大学, ダイバーシティ研究センター, 助教 (10781495)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2022-03-31
Keywordsゲーミング・シミュレーション / 社会的ジレンマ / コミュニケーション / 話し合い / 共通の基盤
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、ゲーミングを用いて、多様な価値や利害が存在する社会において話し合いが葛藤解決をもたらすための共通の基盤の形成過程とその要件を検討することである。ゲーミングは、与えられた制約の中でプレーヤーが役割や目標を持ち、活動し、相互作用することで社会全体のシステムをシミュレートするものであり、個別の要因を検討するよりも全体のダイナミクスを描き出すことに優れている。また、ゲーミングは設定する条件としての社会構造や制度をあえて不完全なものにすることで、人々がその刺激に適応し、自身にとって有利になるように利用していくという選択を新たに生み出すことが可能である。多様性の存在する社会においてその葛藤解決を目指す際には、人々が既存の枠組みにとらわれずに創造的に問題に取り組むことが求められるため、ゲーミングはそうした解決を観察するのに適している。
本年度は、異なる目的で共有財を使用する人々の間に生じる葛藤を組み込んだゲーミングをプレテストとしてオンラインで実施した。参加者は自身が置かれた葛藤状況を理解し、同じ価値や利害のメンバーとは困難なく話し合いを行って問題解決の方法を探っていた。ただし、自身とは異なる価値や利害にあるメンバーとは積極的に話し合おうとするものがいる一方で、同じ価値や利害を持つものとの話し合いで結論を得ることを優先し、異なる立場にあるメンバーとの話し合いを保留し、避けるという行動も観察された。このことは、このゲーミングを用いることで話し合いが機能するために参加者が多様な人々と共通の基盤を形成するための過程を観察することが可能であることを示唆していると考えられる。今回の実施分はプレテストであり、またオンラインでの進行上の課題も見つかったため、今後の改善が必要であるが、多様な人々による複雑な相互性と話し合いの機能に関する効果を検討するための成果へとつながると予想される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度は、これまでにプレテストをおこなったゲーミングを本格的に実施し、データを収集する予定だったが、COVID-19の影響もあり、ゲーミングの参加者や実施会場の確保が困難であった。そのため、オンライン授業でも用いられており、ゲーミングの参加予定者が普段使用しているZOOMやMicrosoftTeams、MicrosoftForms等のツールを用いたオンラインでの実施へと切り替えることとし、準備を進めた。9月の末にオンラインでのプレテストを実施したが、参加者のネットワークへの接続環境、オンラインの会議ツールの習得状況に程度の偏りが大きく、一部ゲーミングの進行が困難であった。これらの点を克服するために、インストラクションや使用ツールの見直しを行う必要がある。本研究では、参加者がオンライン上で話し合いと意思決定を行う必要があるため、その両方が円滑に実施できるようオンラインツールの情報収集を進めた。
また、社会的ジレンマにおいて一部の成員による話し合いがもたらす効果を検討する実験研究に関する論文の執筆を進めた。多様性の存在する社会においては、集団内における問題を話し合う会合に集団成員のすべてが参加できる訳ではなく、一部の人たちで話し合うという事態も生じうる。この論文では、話し合いに参加できない人々がいたとしてもネガティブな影響をもたらすことはないこと、そして、全員で話し合う場合と比べて限定的ではあるものの、人々に協力行動をもたらすことを示した。また全員で話し合った場合には共通の目標が共有されており、話し合いによって人々に共通の認識を形成することの重要性を示した。

Strategy for Future Research Activity

本研究で用いるゲーミングは対面での実施を想定していたが、COVID-19の感染防止のため、オンラインでの実施ができるような形態に変更する必要が生じた。本年度に実施した際には、ZOOM上のチャットで適宜ゲームの進行を案内し、コミュニケーションをとりながら、MicrosoftFormsなどを用いて参加者が意思決定をおこなうようにしたが、教示内容を十分に伝え切れていない部分やそれに対する参加者へのフォローや質問への返答に想定以上の時間が要した。また、意思決定タスクの実施においても、指示されたURLのリンクや結果のフィードバックファイルの開き方がわからないといった参加者もいた。今後研究を遂行する上で、オンラインでの円滑な実施方法を実現することが課題である。また、参加者の確保についても検討課題である。オンライン環境での参加となるため、ネットワークの不調などで予期せず途中での退出などが生じると予想される。こうした場合の対応方法なども検討する必要がある。
オンラインでの実施を前提とするが、COVID-19の感染状況なども確認し、感染対策を講じた上で対面での実施が可能であるかを選択肢の一つとして検討しながら計画を遂行する。

Causes of Carryover

COVID-19の感染拡大により、ゲーミングの実施会場や参加者の確保が困難となったこと、会議等の出張が困難になったことから、次年度使用額が生じた。この差額に関しては、ゲーミング参加者への報酬、またゲーミングのオンライン化に伴う機器の準備のために支出する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2021 2020

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] Effects of experiencing the role of imaginary future generations in decision-making: a case study of participatory deliberation in a Japanese town2021

    • Author(s)
      Hara Keishiro、Kitakaji Yoko、Sugino Hiroaki、Yoshioka Ritsuji、Takeda Hiroyuki、Hizen Yoichi、Saijo Tatsuyoshi
    • Journal Title

      Sustainability Science

      Volume: 16 Pages: 1001~1016

    • DOI

      10.1007/s11625-021-00918-x

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] What Do People Say When They become "Future People"? - Positioning Imaginary Future Generations (IFGs) in General Rules for Good Decision Making2020

    • Author(s)
      Hiromitsu T, Kitakaji Y, Hara K, and Saijo T
    • Journal Title

      RIETI Discussion Paper Series

      Volume: 20-E-076 Pages: 1-36

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 働く女性に対する好意的性差別主義尺度の作成2020

    • Author(s)
      森永康子、坂田桐子、北梶陽子、大池真知子、福留広大
    • Journal Title

      広島大学心理学研究

      Volume: 20 Pages: 11-22

URL: 

Published: 2021-12-27  

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