2021 Fiscal Year Research-status Report
多様性の存在する社会における話し合いの共通基盤の形成過程に関する検討
Project/Area Number |
17K13904
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北梶 陽子 広島大学, ダイバーシティ研究センター, 助教 (10781495)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会的ジレンマ / 協力 / 話し合い / コミュニケーション / ゲーミング・シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ゲーミング・シミュレーション(以下、ゲーミング)を用いて、多様な価値や利害が存在する社会において話し合いが葛藤解決をもたらすための共通の基盤の形成過程とその要件を検討することである。ゲーミングは、与えられた制約の中でプレーヤーが相互作用することで社会全体のシステムをシミュレートするものであり、個別の要因を検討するよりも全体のダイナミクスを描き出すことに優れている。多様性を想定した社会の葛藤解決のために、ゲーミングを用いることで人々が既存の枠組みにとらわれずに創造的に問題に取り組むこと過程を観察することが可能となる。 本年度は、異なる目的で共有財を使用する人々の間に生じる葛藤を組み込んだゲーミングのオンライン環境の整備を行った。昨年実施した際に、特にゲーム中のプレイヤー間のコミュニケーションの面でいくつかの課題が見つかったため、ツールの見直しとゲーム内のタスクの改善を測った。コミュニケーションに関しては、プレイヤー自身と同じ目標や利害にあるメンバーとのコミュニケーションと、プレイヤー自身とは異なる目標は利害にあるメンバーとのコミュニケーションに差異を設けられるように、誰と話して誰と話さないかをゲーム中でプレイヤーが自然と振る舞えるようにすることが課題であった。オンラインでは、チャネルを変えるなどの操作をプレイヤーが難なく行えるように段階的にゲーム操作に慣れるようなステップの導入を検討した。また、ゲーム内でのタスクを削減できないかの検討を行い、プレイヤーが自由な発想で取り組める環境となるように改善を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、プレテストから明らかになった改善点の修正とデータの収集を行う計画であったが、COVID-19の影響もあり、ゲーミングの参加者や実施会場の確保が困難であった。オンラインでの実施のために、ゲーミングの参加予定者が普段使用しているZOOMやMicrosoftTeams、MicrosoftForms等のツールを用いたプレテストでは、参加者のネットワークへの接続環境、オンラインの会議ツールの習得状況の差に対するサポートが不十分となってしまったことがあり、特にこの点の改善を進めた。インストラクションや使用ツールの見直しを含め、意思決定に経済実験などで導入されているo-Treeを用いて、プレイヤーが直感的に操作できるような改善を進めた。しかし、異なる目標や利害を持つ複数の集団間、集団内での相互作用を行うゲームであるため、その複雑な構造を再現し、その中でプレイヤーの創造性を発揮できるようなゲームの構築に困難を伴った。 また、社会的ジレンマにおける話し合いの効果の検討として、集団成員の一部のみでの話し合いが協力をもたらすことを示した実験研究に関する英語論文の執筆を進めた。原稿の英語校閲を行い、投稿の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で実施するゲーミングは、直接対面でコミュニケーションややり取りを行うことで自由な発想や行動を担保することを想定していたが、COVID-19の感染防止のため、オンラインで実施した場合にもそれらが担保できるようなゲームデザインを行う必要がある。 プレテストで行った形式からo-Treeを用いた形式に変更したが、その設計のスキル不足から計画が遅れることとなった。今後は、習熟したスキルを持つ技術者を探し、依頼するなどによって計画を推進することも検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大の影響を受け、参加者の確保や会議等の出張が困難になったことから、次年度使用額が生じた。この残額に関しては参加報酬として使用予定である。
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