2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Psychological Effects and Roles of Subordinate and Supervisor Trust in One Another in the Supervisor-Subordinate Relationship
Project/Area Number |
17K13907
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
藤原 勇 京都橘大学, 健康科学部, 助教C (30782966)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 被信頼 / 信頼 / 上司・部下関係 / 役割 / ストレス / 動機づけ / 自尊心 / 絆 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,上司・部下間で相手から信頼されていると思えること(被信頼)がもたらす心理的効果や役割を検討することを目的とした。 被信頼の役割として,被信頼が信頼と相互に影響しながら信頼関係の評価基準を洗練させる役割を担うことを検証するため,インターネット調査を実施した(研究1)。その結果,上司も部下も,ある時点(Time1)の相手への信頼が半年後(Time2)の相手からの被信頼を低下させ,またTime2の信頼がさらに半年後(Time3)の被信頼を低下さていた。さらに,Time1からTime2も,Time2からTime3も,相手への信頼が後続の相手への信頼に対し,相手からの被信頼が後続の相手からの被信頼に対し影響していた。同様に,各時点の相手への信頼が後続の相手からの被信頼に対し影響していた。これらより,信頼と被信頼が相互に影響しながら発達する過程が明らかになった。 なお,前年度に実施した被信頼の心理的効果に関する研究2(部下視点)と研究3(上司視点)では自尊心という広範な概念を用いたが,組織内で培われる組織自尊感情を用いる方が適切ではないかという問題点が考えられた。そこで,研究をさらに深めるため,組織自尊感情を採用し,新たに研究4(部下視点)と研究5(上司視点)のインターネット調査を実施した。その結果,研究4では,部下において,上司からの被信頼が組織自尊感情を非常に強く規定し,動機づけと勤続意思の向上やストレスの低下という直接効果も大きいことが示された。一方,研究5では,上司において,部下からの被信頼が組織自尊感情に強いというほどの影響を及ぼしておらず,動機づけや勤続意思の向上にはストレスの低減が効果的であるとわかった。加えて,信頼と被信頼の組み合わせ効果に関しては,部下の上司への信頼が低くかつ被信頼が高い場合(一方的被信頼)に上司との関係を最もわずらわしく感じることがわかった。
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