2018 Fiscal Year Research-status Report
物語接触が関連行動を生じさせるメカニズムの解明-空想による抑制効果に注目した検討
Project/Area Number |
17K13908
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
小森 めぐみ 淑徳大学, 総合福祉学部, 准教授 (40706941)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 登場人物への同一視 / 心的対比 / 片づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は1件の質問紙調査、1件の実験室実験を行った。また、1件の論文が公刊され、2件の学会発表を行った。まず質問紙調査では、同一視する対象に対する好意度の低さが関連する意思決定に及ぼす影響を検討した。具体的には主人公が自らの意識の低さから会社のパソコンをコンピューターウィルスに感染させてしまうという内容の映像を閲覧した後に、所有する携帯電話へのセキュリティアプリにいくらお金をかけてもいいかを尋ねた。閲覧前に主人公の魅力を操作し、それが同一視や意思決定にどのような影響を及ぼすかを検討した。 実験室実験では2017年度後半に実施した片付けに関する実験室実験のつづきとして、部屋の片づけを題材とするマンガの主人公への同一視が自室の片づけを促進されるかを2週間後に検討する実験を行った。本年度の実験室実験では携帯電話を用いた経験サンプリング法を行い、3日ごとの意識や行動の変化を追跡した。更に、関連行動を促進するために物語接触後に心的対比を行う条件を設け、同一視だけを行う参加者と比較した。 公刊された論文では同一視と同じ物語経験である移入が物語関連製品の広告評価に及ぼす影響を検討した。物語経験が生じている場合には、主人公の目標追求に関連する製品広告はポジティブに評価されるが、目標との関連が薄いものに関しては物語経験の効果は見られなかった。学会発表2件の内1件は昨年度の実験室実験を報告したものであり、もう1件は物語とマーケティングに関連するワークショップの話題提供だった。話題提供では、物語接触が対比行動を生じさせる可能性を指摘し、その中で本課題についても説明した。いずれの発表でも興味深いコメントを頂戴した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物語の登場人物への同一視が行動を抑制するかどうかを検討するという研究の第1の目的に加え、第2の目的である登場人物との心的対比が関連行動を促進するかどうかまで検証する実験を行えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
実験室実験では十分な人数を確保できなかった。これは本研究の題材(部屋の片づけ)に関して経験サンプリングデータを提出することが、参加者にとって心理的な抵抗の大きい内容であったためと考えられる。最終年度ではトピックを変更して再度心的対比の効果について検討するとともに、これまでの研究知見を論文、報告書にまとめる。
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Causes of Carryover |
実験室実験の謝礼や実験実施の費用(書籍購入、wifiルーターおよび連絡用携帯電話のレンタル、実験者アルバイト金額)としての金額を準備していたが、想定していたよりも参加者の集まりが悪く、実験が短期間で終了してしまった。
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