2020 Fiscal Year Research-status Report
物語接触が関連行動を生じさせるメカニズムの解明-空想による抑制効果に注目した検討
Project/Area Number |
17K13908
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
小森 めぐみ 淑徳大学, 総合福祉学部, 准教授 (40706941)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 登場人物への同一視 / 学業パフォーマンス / 物語 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は本研究課題の最終年度にあたり、本来であればこれまでの研究結果をふまえた心的対比の効果を検証する2件の研究と成果発表を行う予定であった。しかし、新型コロナウィルス流行の影響で予定していた研究を実施することができず、新たなデータは得られなかった。研究成果発表は2件行ったが、十分とはいえなかった。 研究成果発表の1件目として、初年度に実施した研究成果を報告する英語論文を作成し、ShukutokuUniversityBulletin誌に掲載された。この研究は物語刺激として、大学の最終学年時の成績発表を実況中継した動画を使用し、動画で卒業を確定させた登場人物に対して同一視を高めることが、大学生の試験勉強に対する動機づけやパフォーマンス(勉強量や試験の点数)に及ぼす影響について検討したものだった。本課題では登場人物に対する同一視(空想実現理論におけるポジティブ空想に該当すると想定)を高めるほど実際のパフォーマンスは低下することを予測したが、仮説を支持するパターンは得られなかった。むしろ、成績に対する期待が低い学生において、動画の登場人物に対する同一視がパフォーマンスを高めるという同一視の促進効果が見られた。 研究成果発表の2件目として、分担執筆者として消費者心理学のテキストの1章分を執筆し、物語接触がもたらす心理的影響全般について説明を行った。この章の内容は物語接触の効果全般に関するものであるが、その中で、本研究課題で検討している、同一視を含む物語経験がパフォーマンスに及ぼす影響についても説明した。 年度後半には大学での対面授業が再開されたこともあり、実験室実験の実施を計画したが、再び感染が拡大し実施を断念した。上記の通り、予定していた研究課題が実施できなかったため、申請期間の延長を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス流行の影響で、予定していた研究が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施できなかった、片付けを題材とするパネル形式の実験研究を実施し、物語接触によって生じる空想がパフォーマンスに及ぼす影響と、心的対比によるパフォーマンスの促進効果について改めて検討する。加えて、マンガを題材として物語接触と説明文接触がパフォーマンスに及ぼす影響を検討した研究を論文化して投稿する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響で予定していた研究が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度では、オンライン実験に必要な物語刺激作成(外注予定)とオンライン調査の実施費用を捻出する。
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