2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13911
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
池田 千紗 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90580051)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 算数障害 / 算数の文章題 / 手先の不器用さ |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害児の中で比較的知的機能が高く,算数の四則計算は可能である児は,小学校中学年以上になると文章題の理解が困難となり,式の生成ができず,学習につまずくことがある.しかし本邦では,数の概念や四則計算に関する事例報告や指導方法に関する報告は散見されるが,算数障害の評価方法や,文章題の読み取りや,式の生成の背景にある認知的要因,指導方法については明らかになっていないのが実情である. 本研究では学校教育の中で算数教科に遅れを示す発達障害児もしくはそのリスク児における,算数障害と統語能力及びワーキングメモリ,手先の不器用さの特徴を明らかにすることを目的として、これまでに算数能力検査および算数認知機能検査開発のための標準データ構築のため小学校3年生~6年生の児童37名に対して調査を実施した。調査では、算数能力検査として四則計算、文章題と、算数認知機能検査として聴覚WM、視覚WM、数感覚、語彙の理解力に関する課題を実施した。併せて手先の不器用さとの関連を検討するため描画課題を実施した。現在、文章題の回答方法を詳細に分析し、認知機能との関連の検討を行っている。 また、算数の苦手さに関連する認知機能および手先の不器用さの大まかな傾向を探るため、通常学級に在籍する児童を対象としたアンケート調査を実施した。通常学級に在籍する小学校1年生~5年生の児童215人を対象とし、算数の苦手さの傾向と学校生活の中で見られる運動の特徴について、担任教師に回答を求めた。担任教師が算数の苦手さのある児童をどのように捉えているかについて検討を行っている。 これらの調査を踏まえ、算数の文章題を苦手とする小学生10名程度をリクルートし、対し算数能力検査および算数認知機能検査を実施し(現在3名の検査を実施済み)、標準データとの比較から支指導方法の開発に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
算数能力検査と算数認知機能検査の課題項目を確定して標準データを作成し、算数の文章題を苦手とする小学生に対する調査を進めている。また今年度より支援実施を予定しているため、指導方法の開発にも着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(令和元年度)は、算数の文章題に遅れを認める児童20名をリクルートし、基本属性、算数能力、算数認知機能、手先の不器用さ(M-ABCおよび描画)の評価を実施し、各検査の関連の分析して検査の信頼性と妥当性を検証する。平成32年度(令和2年度)は、これまでに検査を実施した児童の再検査を行い、発達的特徴を分析する。また指導方法については、文献検討による起案と、これまでの指導経験の中で行ってきた問題文の構造(複文や重文の理解)に関する学習、視覚情報の言語化と記憶の想起学習等をiPadを用いてプログラム設定する。
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