2021 Fiscal Year Research-status Report
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17K13915
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Research Institution | Osaka Seikei College |
Principal Investigator |
田中 哲平 大阪成蹊短期大学, 栄養学科, 講師 (30770416)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 文章読解 / 眼球運動分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、読者が文章を読む際の眼球運動を測定することで、その読み過程を包括的に検討し、これらの知見をもとに読みの苦手な読者に対する読み支援手法の開発を目標とするものである。これまでの研究において、ワーキングメモリ容量の個人差が文章の読み方、特に読み返し(代名詞などに遭遇した際に既に記述してある情報に視線を戻すこと)に影響を及ぼしている可能性を示した。例えば、ワーキングメモリ容量の高い読者も低い読者も、文章が提示された状態での質問への回答の正答率や、回答までの反応時間に大きな差が認められない一方で、高い読者は低い読者に比較して、読み返しが正確であることが明らかになっている。また文中に付与されたハイライティングが、読者の読み返しを手助けし、読み返しの正確性を向上させている可能性が示されている。これらのことがから、読者は文章読解中に何らかの目印をワーキングメモリに保存し、読み返しが必要になった際にそれを使用していると推測される。また読者の文章読解能力と、文章の理解に重要な単語に対する能動的なハイライティングの数に関連があることが認められた。例えば、文章読解能力が低い読者は、提示された文章に数多くのハイライティングをしていることが明らかになり、文章読解能力の低い読者は先述の「目印」をうまく識別できず、それが文章理解に負の影響を及ぼしていることが推測される。 その一方で文章読解能力と眼球運動の関連についての実験が遂行できておらず、またハイライティングの自動付与機能を搭載した読み支援アプリの開発に支障が出ており、早急に解決策を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、密室での実験が遂行できていない。読者の眼球運動分析には実験室を用いた実験が不可欠であるが、協力を予定していた研究機関の実験室および実験装置が使用不可能となり、研究の基盤となる読者の眼球運動データの取得が困難な状態であった。そのため、数度に渡り研究期間を延長している。その際に、実験室実験に頼らないアンケート調査やインターネットを用いた実験を共同研究者と検討を重ねている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、新型コロナウィルスの流行状況に応じ、実験室実験が可能になった場合、速やかに実験を遂行する。一方、状況改善が認められない場合には、読者一人一人の眼球運動測定を諦め、実験室実験に頼らないアンケート調査やインターネットを用いた実験を遂行し、当初の目標を少しでも達成する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、密室での実験が遂行できていない。読者の眼球運動分析には実験室を用いた実験が不可欠であるが、協力を予定していた研究機関の実験室および実験装置が使用不可能となり、研究の基盤となる読者の眼球運動データの取得が困難な状態であった。そのため、一部旅費や謝金の支払いが無かった。
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