2022 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive examination of the text reading process and development of reading support methods
Project/Area Number |
17K13915
|
Research Institution | Osaka Seikei College |
Principal Investigator |
田中 哲平 大阪成蹊短期大学, 栄養学科, 講師 (30770416)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 文章読解 / 眼球運動分析 / ハイライト / 読書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、読者が文章を読む際の読み過程を包括的に検討し、これらの知見をもとに読みの苦手な読者に対する読み支援手法の開発を目標とするものであった。これまでの研究において、ワーキングメモリ容量の個人差が文章の読み方、特に読み返し(代名詞などに遭遇した際に既に記述してある情報に視線を戻すこと)の正確性に影響を及ぼしている可能性が示されていた。また文中に付与されたハイライティングが、読者の読み返しを手助けし、読み返しの正確性を向上させている可能性が提示されている。これらのことがから、読者は文章読解中に何らかの目印をワーキングメモリに保存し、読み返しが必要になった際にそれを使用していると推測される。 先行研究では「ハイライトは能動的な場合に効果的である」一方で、「文章を読む以上の効果はない」「推論を含む文章ではむしろ理解を阻害する」といった報告がなされていた。 そこで本研究では特に能動的なハイライティングに着目し、文章読解力課題や普段の読書量調査、そして言語情報処理と関わる流暢性語彙課題を実施し、これらと同時に「文章を読んで理解に重要であると考えられる部分」に能動的にハイライティングさせる課題を行った。 その結果、読書量が多い人ほど効率的にハイライティングすることができると明らかにした一方で、単純なハイライトの数は文章理解に結び付いていない可能性が示唆された。また推論を含む文章においてもハイライトの数は負の相関が認められ、先行研究を支持することとなった。 本研究の最終的な目標である「読み方支援アプリ」の開発までには、コロナ禍における実験室使用の制限などもあり至らなかったものの、ハイライティングという日常的な読みにおいてよくなされる能動的行為に関して、一定の知見が得られたものと考えられる。
|