2017 Fiscal Year Research-status Report
the correlation of autism spectrum conditions and humor experiences
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17K13918
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
永瀬 開 山口県立大学, 社会福祉学部, 講師 (70784495)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / ユーモア体験 / 社会的コミュニケーション / 心理社会的適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自閉症スペクトラム障害者における状態像とユーモア体験との関連について明らかにすることを目的とした。 平成29年度は典型発達者を対象とした調査研究を実施した。具体的には、典型発達者を対象に、冗談文に対する反応を測定するとともに、コミュニケーションにおけるユーモアの使用傾向と自閉症スペクトラム傾向を質問紙によって測定した。そしてこの調査で得られたユーモア体験と自閉症スペクトラム傾向との関連について検討したところ、以下の3点が明らかになった。すなわち、1)典型発達者において自閉症スペクトラム傾向とユーモア体験のしやすさとの間に二次の線形関係があること、2)典型発達者において「注意の切り替えの困難さ」「コミュニケーションの困難さ」「想像性の困難さ」といった自閉症スペクトラム傾向の各特徴とユーモア体験との間においても二次の線形関係があること、3)自閉症スペクトラム傾向のうちの「社会的スキルの困難さ」が、コミュニケーションにおけるユーモアの使用に負の影響を与えていること、の3点が明らかになった。 また平成29年度はユーモアを含めた情動のコントロールについて、自閉症スペクトラム障害者の特徴に関する研究動向を整理した。その結果、1)自閉症スペクトラム障害者は認知的再評価の方略によって情動をコントロールすることが困難であること、2)自閉症スペクトラム障害者における情動のコントロールの困難さの背景には心の理論障害及び実行機能の障害があること、の2点が明らかになった。この結果については誌上発表を行った。 さらに平成29年度は高等教育機関における自閉症スペクトラム障害者の対人相互交渉の特徴について検討し、自閉症スペクトラム障害者同士であれば援助行動が促進されることを明らかにした。 平成30年度においては、平成29年度に行った調査研究を自閉症スペクトラム障害者を対象に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
典型発達者を対象とした調査を実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は自閉症スペクトラム障害者を対象とした調査を実施し、平成29年度に得られたデータと比較検討を行う予定である。それとともに、平成29年度に典型発達者を対象とした調査から得られたデータについて誌上発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は国際学会に行く予定であったが、資料収集、学会発表を全て国内学会で行ったため次年度使用額が生じた。次年度の使用計画として、国際学会での発表のための旅費として用いる予定である。
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Research Products
(4 results)